ミュージカル「女神様が見ている(여신님이 보고 계셔)」感想
【2017.12.16 ソワレ】
ハン・ヨンボム:キム・ジェボム、
リュ・スンホ:イム・ジンソプ
イ・チャンソプ:ユン・ソグォン
シン・ソック:キム・デヒョン
チョ・ドンヒョン:チョ・ブンレ
ビョン・ジュファ:カン・ソンウク
女神:ユ・リア
満を持して行って参りました!大学路の名作と名高い「女神様が見ている」。
下書き欄に書きかけのシラノの感想や死の賛美の感想が見えた気もしますが、鉄は熱いうちに打てということでひとまずこちらの感想です。
一応予習にと過去の公演の動画を漁ってみたり、OSTを流しながら「な ぽよよ〜〜」と宙に向かって手を振ってみたりとしていたのですが、実際に観劇してみるとやっぱり感動と迫力の度合いが違いますね。本当に名作と呼ばれるだけあって素晴らしい作品だなぁと感じました。
私ごときが何言ってんだという話ですが、あまりにも予習材料が豊富であるが故に、段々知ったような気になってくるのと、あまりにも絶賛の声しか見つけられない故に、期待値だけが上がっていき「実際どうなんだよw」みたいな捻くれた気持ちなってくるんです笑
そんな捻くれた気持ちを抱きつつ観劇すると、想像していたものの更に上をいく感動を味わうことになり「本当に名作じゃん‥‥‥」と放心状態になりますwww
キャストは上記の通りです。ジェボムさんが西便制以来、ユリアさんがダディ以来である以外、初めて観る方ばかりだったのですが皆さんとても素敵でした。
初見かつ韓国語がさっぱりな人間の感想ですので間違い等あるかもしれませんが広い心で読んでいただければと思います。
以下ネタバレと妄想満載になりますのでご注意ください。
ざっくりと言ってしまえば、『敵同士であった南の兵士と北の兵士が無人島に漂流し共に生活する』という内容のこの作品、南の大尉であるヨンボムと北の兵士で心に傷を負ったスンホの関係性はこの物語を象徴するように感じました。
この作品を観て1番印象に残ったのが、スンホがヨンボムに向けた最初と最後の言葉です。
スンホとヨンボムの間に少しずつ生まれていく信頼と愛情はこの作品の大きな見所の一つだと思うのですが、それがスンホがヨンボムに向けた言葉に集約されていると思います!
(おそらく)初対面であり、敵兵の大尉であるヨンボムに
「おじさん‥‥‥頭おかしくなった?」
とドン引き気味で言っちゃうスンホ。しかし無人島生活での紆余曲折を経た後の別れのシーンでは
「‥‥‥ありがとう、ひょん。」
と切ない表情でヨンボムに告げます。
はい、この差最高じゃないですか?
この最初と最後の言葉だけで、無人島での生活でヨンボムがいかにスンホを可愛がっていたのか、そして2人の間にどんな関係が築かれたのかがわかります。
正直、たった120分の間の「아저씨 미쳤어?」から「고마워요‥‥형.」まででこんなにも心を震わせられることになるとは思いもしませんでした。さすが大学路の名作。
ヨンボムとスンホ(+よしんにむ)で歌う、物語のキーともなるナンバー〈여신님이 보고 계셔〉。観劇前から動画を何回も観るほどお気に入りだったのですが、生で、そして前後の流れがあって観るとスンホとヨンボムの心が少しずつ近づいていくのが手に取るようにわかり、大好きなナンバーになりました!
怯えるスンホの手を取り優しく歌って聴かせるヨンボムと段々と目を輝かせていくスンホ。例え、スンホを丸め込みたいという考えがあったとしてもヨンボムのスンホに対する優しい仕草や眼差しは嘘ではないのだろうなという事がビシバシ伝わってきます。
さっきまで娘(見えない)に向かって話しかけ続ける明らかにヤバい人だったのに!!チャンソプの前でも「口先だけでなんとか生きてきました〜〜」感漂うヘラヘラッぷりだったのに!!このナンバーでの愛情溢れる優しさに一気にヨンボムというキャラが好きになりました。
そして、スンホとヨンボムの関係性という点において、1番テンションがあがったのはやっぱり爆撃を受けた時のシーンです。
皆が安全な場所に避難する中、トラウマ故に動けなくなったスンホを身を呈して助けに行ったのは敵兵の大尉であるヨンボム。お互いに銃を向け合っていた序盤の姿を知っているだけに、このヨンボムの行動は衝撃的でした。
動けないスンホの姿を見て、咄嗟にという感じで飛び出し助けに行くヨンボムから、スンホの事を本当に可愛がっているんだなと良くわかります。2人の間にはまぎれもない愛情が国を超えて生まれていました。
観ている側としては「北の兵士」「南の兵士」と無意識の内に認識して観ていましたが、もう彼等にとっては「どちらの国の兵士であるのか」という事よりも「同じ無人島で生活する仲間」という事実の方が大きくなっているのだなぁと。
こんな、彼らが国を越えて絆を深めていく姿が丁寧に描かれる中でも、随所随所に現実では戦争の最中で、彼らは敵同士であることを突きつける演出を挟んでくるのがこの作品の憎いところだとも思いました。ソックとヨンボムが無線機を隠し持っているところだったり、韓国軍の襲来に助けを求めようとする2人を北の兵士達が押さえつけたりするところだったり‥‥。
もちろん、彼らが本心からこんなことを望んでやっている訳などないことはわかっているので余計に観ている側は切なさとやるせなさで胸が苦しくなるんですよね‥‥‥‥。
地味にキュンキュンしたのが、ヨンボムが呼んだ韓国軍を皆で撃退するシーン。
この時スンホを勇気づけるように、安心させるように彼の手を握りしめるヨンボムの姿も好きでしたが、注目すべきは爆撃で皆が地面に伏せる時です。皆が地面に伏せる中ヨンボムは当然のようにスンホの上に覆い被さるんです‥‥‥‥。
いや、無理すぎない?(言葉を失ったオタクの常套句)
あの、「自分の身が第一で〜〜す(ヘラッ)」みたいな感じだったヨンボムが、大切な存在としてスンホを守ることを当然としている姿‥‥‥‥‥‥‥。
このシーン何度思い出しても胸がいっぱいで言葉が出ません。
そして物語のクライマックス、別れのシーンですが‥‥‥はい、もう切なくて、胸が苦しくて、言葉が(以下略)
ありがたいことに台本が手元にあるのでヨンボムとスンホの最後のやりとりを抜粋してみます。
영범 , 가만히 서 있는 순호 옆 으로 다가 가
영범 「순호도 이제 집으로 가야지 ? 」
순호 「‥‥」
영범 「( 순호 옷 매무새 챙겨주며 ) 조심해서 가 .」순호 「… 고마워요 형 . 」
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥最高です。
「スンホももう家に帰らないと」
ヨンボムのこの言葉は、「女神様が側に居なくても、自分が側に居なくても、もうおまえは大丈夫だよ」という意味が込められているのかなとも思いました。
無人島で過ごした時間、どこまでもヨンボムはスンホの良い兄であり父であり庇護者であったんだろうな〜〜と考え始めるとたまらない気持ちになります‥‥‥。
優しく告げるヨンボムに、黙りこんじゃうスンホがまた可愛くて切ない( ;∀;)
そしてヨンボムとの、おそらく永遠であろう別れを前にして最後にスンホがヨンボムに向けた言葉が「‥‥‥‥こまうぉよ ひょん」です‥。
韓国語が1歳児レベルにさえ達していない私でも意味がわかるこの台詞ですが、この一言に込められた想いはどんなものだったのかと考えると‥‥‥。切なすぎてユニプレックスの劇場を飛び出して地下から地上まで階段を一気に駆け上がりたい衝撃に駆られます。
「こまうぉよ」の言葉には、きっと女神様作戦を実行してくれたこと、そして自分に愛情を持って接してくれたこと、色々な想いがこの一言に込められているんだろうなと想像しては胸が苦しくなりますし、「ひょん」にはスンホがヨンボムと一緒に過ごした時間とそれがどんなものであったのかが表されているじゃないですか‥‥‥。
もう、一言一言が切ない‥‥‥‥‥‥。
決してバッドエンドではないのに、胸を締め付けるような切なさを残す結末は、だからこそ観る側の心に深く残るものになるのだなと思いました。現に私は「帰る場所」に帰っていった彼らを想像し、日々胸を苦しくしています。
例えばヨンボム兄貴なんて、絶対空気の澄んだ星の綺麗な夜、いつか見上げた空と重ねるように1人星空を見上げるようになりますし、その表情は普段の姿からは想像もつかないような物憂げな表情なんですよね。だけど「 あっぱ〜〜」という声に振り向いた時にはさっきまでの表情など嘘のような、いつものデレデレな表情を浮かべ、駆け寄る娘に手を広げるんですよ!!!(※全部妄想です)
とっても切なくないですか??(※だから妄想です)
まあそんな妄想はさておいて、戦争によって引き裂かれた彼らの絆は、戦争によって出会い、生まれたものなんだと突きつけられる結末でした。
ひたすらスンホとヨンボムについて語るだけのまとまりのない感想になってしまいましたが、長くなったので一旦この辺で終わりたいと思います。
本当は『ソックとジュファ、あなた達はいつの間にそんなに仲良くなったの問題』やら『ヨンボムってこんなに変人キャラなんですか。それともジェボムヨンボムがこんなに変人なだけなんですか問題』などいろいろ書きたいことがあったのですが、それは余力があれば次回にということに。
もう一度観る予定なので、その時にキャスト別キャラ感想も書ければとは思っています╭( ・ㅂ・)و ̑̑ !
最後に、切なさを吹き飛ばす可愛さ100%で構成されたカーテンコールの写真を。
上げまくった期待値の更に上をいくヨボショ。まだ未見の方でこのブログを読みながら「実際どうなんだよw」と思っている方がいらっしゃいましたら是非劇場で確かめて頂きたいです。