絵に描いた餅

書かなきゃ忘れるオタクの備忘録

舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』感想

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私の中で一体どこの層が観ているのか全くもって謎と話題の舞台、それが呪いの子でした。

広告がバンバン打たれチケットは売れているらしい。しかし周りで観に行ったという人は殆どおらず、舞台オタクで構成されているはずのツイッターのTLですらその話題を殆ど見ない。一体誰が観てるんだ……。

私がツイ廃生活を送っているなかで辛うじて知っている情報といえば、推しがロングラン作品に拘束されるのではと怯えるホリプロ所属俳優推しのオタク達のざわめきと『ハリポタを日本人が演じるとかムリ~~(笑)』とかいう一生舞台観劇に縁の無さそうな人々のざわめきくらい。マジで一体どこの層が観てるんだ……。

チケットも一般的な舞台チケットの相場を超えた価格設定で、舞台オタクが『気になるから観に行きま~す!』するにはちょっとハードルが高い気がする(この値段出すなら推しが出てる別作品を一回でも多くみたいと思わせる絶妙なラインだと思う)し、かといって普段舞台観ない方が友人などと『観に行ってみよ!』するにはやっぱりハードルが高いと思うし、ご家族が『子供と一緒に観に行こう』をするにもちょっと……いや、かなりハードルが高い気がする。

いや本当に、一体どこの層が(以下略)

という感覚で呪いの子については遠巻きに眺めていたのですが、色々あって突然ゴールデンスニッチチケットが舞い込んできたのて急遽観に行くことになりました。

正直観劇続きになってしまう日程だったのであまり乗り気じゃなかったんですが、信頼している友人が『面白かった、観て欲しい』と会う度に言っていたのでとりあえず行くかと決済しました(ゴールデンスニッチチケットは当選から決済まで24時間も無いという鬼畜仕様)

 

 

私自身のハリポタ理解度といえば、おそらく人並みです。

11歳の頃はもしかしたら明日にもふくろう便が入学許可証を携え飛んできて──と夢を見たりもしましたが、ガッツリストーリに触れたのは死の秘宝(映画)が公開された時が最後だと思います。多分観に行っていたはず。

ハリポタシリーズ自体はモロ世代なので、一応原作は小学生の時から新刊が発売されるのを楽しみに読んでいました。しかし大人になってから読み返したりということもなく、あまりにも遠い記憶すぎるので正直なんにも覚えている自信がない。小学生の時に読んだ本の内容とか覚えてる訳がないんすよ。

呪いの子(戯曲)の発売当初は忙しく、もう魔法学校に夢見る歳でもなくなっていたためいつか読まなきゃと思いつつもそのままでした。

一応ファンタビは毎回楽しみに観に行っているけれど、あれはまあ今回関係ないですね。

ということで、炎のゴブレットまでしか読んでません!と自信満々に言う母と二人、ネットで聞き齧った『既存シリーズを履修してなくても大丈夫』という情報を鵜呑みにしていそいそと赤坂へ向かいました。

 

流石に何にも知らないまま観るのはヤバいと思い、行きの電車の中(遅い)で公式HPのあらすじをチェック。なるほど、ハリーの息子とドラコの息子が二人で奮闘する話らしい。想像を膨らませるに、授業中対立し問題を起こした二人に教師から罰として使ってない教室の掃除だとかどっかへのおつかいを頼まれるに違いない。そこで何かを見つけるだとか事件に巻き込まれるだとかで窮地に陥る。常日頃親同士の確執もあって対立しがちな二人だが、力を合わせて窮地を脱し、「お前、なかなかやるな」「お前もな」とちょっとだけお互いを認め合う関係になって The End. 大方こんな感じであろう。

呪いの子を猛プッシュしていた友達に「面白いの?」と聞いたら「面白かったよ」と答え少し口籠もった後「……なんか思ってる以上にめちゃくちゃ萌えると思う」と付け加えていたのは、私が反目する2人組に萌えがちだとよく知っているからだと予想。

 

実際に観劇してみての率直な感想は

  • 舞台装置、演出が派手で楽しい
  • 物語のテーマに一貫性があってわかりやすい
  • 上質な二次創作だぁ……
  • 反目どころか共依存関係じゃん……?!

という感じで、期待値をはるかに上回る感動と興奮を味わいました。

 

まず最初に舞台装置や演出ですが、魔法の演出が矢継ぎ早に繰り広げられ華やかで観ていて飽きなかったです。

観に行く人間がどれだけ"魔法の世界"に期待値を抱いているかによって感じ方は変わると思いますが、普通にいつも通り舞台を観に行く感覚で向かった私は『魔法だぁ……!!』とキャッキャしていました。友人が『千と千尋も楽しかったけど、あれより金がかかってる感じ』と評していましたが本当にその通りだと思います。

ファンタジックな部分について、千と千尋が『舞台版ですので舞台としての演出でこちらのシーンはこのように再現させていただきます』という風に見せられていたのだとしたら、呪いの子は『限りなくリアルに寄せました。映像版と同じものをどうぞ!(バーン)』と言った風に見せていたなという印象です。

それにしてもこまごまとした魔法に加え、湖のシーンはガチで水(プール)をお出ししてきてびっくりしました。それまでは魔法にかけられたように素直に楽しんでいたけれども、ここまでされるとすっごいけど大変だなぁ…と言う気持ちになってこなくもない。びしょ濡れになった後、すっかり元通りの姿で次のシーンで出てくるまでの労力にうっかり想いを馳せてしまうもん……。

個人的に一番好きだったのはディメンターが出てくるシーンでした。

これがリアルディメンター……と思わせられるだけの迫力がある演出で思い出すと今でもワクワクします。

 

前述の通り、戯曲は未読の状態で劇場に向かいましたが"親と子の関係性"というテーマを主軸に話が進められ、綺麗にまとめられているので初見でもスッと理解ができました。

序盤のアルバスが「僕がセドリックを取り戻す!」などと言い始めた時には『なーーーに言ってたんだ?この子は……』とあまりの突拍子もない展開に舞台作品にありがちトンチキご都合主義展開かと身構えましたが、話が進んでいきアルバスの置かれた境遇を理解してくるにつれ段々とその行動も理解できてくるんですよね。

家族で唯一グリフィンドールではない彼が、自分もポッター家の人間だと証明するには何かを成し遂げるしかないのだと思ってしまうのも理解できるし、父親と上手くいっていないアルバスが一途に息子のことを想い続ける父親という図を目の当たりにしてそれを救いたいと行動を起こしてしまう気持ちも納得ができてしまう。

劇中で描かれる様々な親子──アルバスやスコーピウスは勿論、セドリックやハリーといったキャラクターの親との関係性や情や絆が、要所要所での行動のキーとなりそれぞれがきちんと物語に紐付いていて、よく出来ているなぁと感動しました。

観終わってみると、『呪いの子』というタイトルもめちゃくちゃ趣深いことに気付かされます。

 

呪いの子はもちろん二次創作なんかではなく純然たる公式の物語で、正しくはハリーポッターシリーズのスピンオフと言える位置付けであることは重々承知しております。そのうえで私は始終『上質な二次創作だ……』と思いながら観ていました。

だって原典となる作品(つまりは私が思春期に夢中で読んでいたハリーポッターシリーズ)を踏まえて観ると途端に爆エモになるシーンがそこかしこにある訳で、長い時間(これは現実世界でも作品の中の世界でも)をかけて完結した物語の中の幾つものエピソードの上に成り立つ種類の"エモ"だったり"萌え"というものは二次創作以外では普段なかなかお目にかかれなくないですか?

私は一番最初のアルバスとスコーピウスの出会いのシーンからそういった萌えとエモで気が狂いそうになっていました。

ホグワーツ急行のコンパートメントから始まる出会いなんて、否が応でもハリーポッターシリーズの始まりを思い出させるし、ハリーがそこで出会った友人とどれほど得難い友情と絆を築いていくのかを我々はよく知っている訳です。きっとアルバスにとってもそんな出会いがあるのだろうとワクワクしながら観ていれば、彼が同じコンパートメントに座ったのはあの!ドラコの息子!!嘘だろ!!!

ハリーにとってのロンとハリーとってのドラコって割と対極の位置に居たと思っているんですが、ハリーがロンに出会った場所で同じように息子のアルバスが得た親友がドラコの息子のスコーピウスというのはもうこれだけで楽しくなってくる。

彼らの父親たちが繰り広げたギスギス対立エピソードの数々を思い出せば思い出すほど謎に胸のときめきが高まっていくこの仕様、すごいよ。

開幕初っ端から【舞台上から得られる情報量】×【幾重にも積み重ねられた過去のエピソードから得られる情報量】の解が、萌えの二乗エモの三乗みたいなトンデモ結果になってくるのをしっかり教え込んでくれるので、序盤から頭の中で持ち得るハリポタ知識を総ざらいしながら次の展開が気になってしょうがない!次はどんな萌え&エモ&新情報をくれるんだ!と心は前のめり状態でした。

でもまあ、既存のハリーポッターシリーズを踏まえると萌えが何乗にもなって膨らむシリーズ最大の案件はもしかしたらスコーピウス本人かもなぁという気がします。

どこからどう見ても完璧にマルフォイ家を象徴する容姿をしていながら、中身があれって色々な意味で卑怯すぎる……。オタクはギャップに弱いんだ。

 

【雑感】

一つの作品として呪いの子を見た時、既存のハリーポッターシリーズから想像するような『魔法と戦闘が入り乱れる冒険譚』というよりは『魔法学校版トーマの心臓』といった要素の方が強いなと感じました。

"呪いの子"と言うタイトルどおり、親と子の情と絆だったり出自故に孤立している少年達の友情だったりと人と人との関係性に焦点を当てとても丁寧に描いている。

繊細な年頃の少年たちが周りとの距離感に悩みながらアイデンティティを確立していく話ってどうしてもギムナジウムものを思い出しちゃうので、私には冒険譚というよりはトーマの心臓に見えました。

"人と人との関係性"をメインに描いていながらも、少年たちの果敢で少しばかり無謀な冒険や魔法を使った派手な戦闘シーンといった既存のハリポタシリーズお馴染みの見どころもしっかりあり、非常にバランスの良い1から10まで楽しませてくれる舞台だったなという感想です。

観劇前に戯曲を読んでいくべきかどうか、私は自身がそうだったというのもありますが現時点で読んでいないのであれば慌てて履修する必要もないんじゃないかなと思います。

全く知らない展開と新情報と萌えとエモと魔法が目の前で次から次へと降ってくる体験は一度しかできないので自分がどのように舞台を楽しみたいかで選べぶのがベストなんじゃないかなと。ただただ目当ての役者さんが居るとか1回の観劇で隅から隅まで味わい尽くしたいとかであればあらかじめ脚本を頭にいれておく方が良いだろうとも思うので。

ただこれだけは言えます。

既存のハリーポッターシリーズは絶対に履修しておいた方がいい。

"履修していなくても楽しめる"

これは本当にそうだと思います。だって純粋に作品自体が良いもん。

『親と子の関係性』という普遍的なテーマを主軸に進められるストーリーと派手で凝った演出。理解しやすいうえに幅広い層の心を掴む要素がモリモリなので、当然履修していなくても楽しめる。

しかし、履修していればその100倍は楽しめます。理由は上記のとおり。一つのシーンから得られる情報量が桁違いになるからです。

私のように『一応履修してるけど……』という人も観劇前にざっと復習しておくことをお勧めします。私は誰かの名前が出てくる度に『……???(誰だっけ?)』となっていました。この時に出てきたこれしてた人!と言われたらわかるのですが、突然名前だけ出てきてもぱっと思い出せないまま話が進んでいくのでめちゃめちゃ疲れます。

最低限、炎のゴブレットまでは履修しておけばだいぶ楽になる気がします。

 

【チケットの話】

今回ゴールデンスニッチチケットで観劇しましたが座席は1階中列サイドブロックの席連番でした。

チケットは当日劇場窓口引き換えですが、すっかり韓国の劇場と劇団四季QRチケットに染まり紙チケ管理ができなくなってしまった人間なのでこれも非常に楽で良かったです。

N◯Sの学生チケットのように当日先着順に座席が決まるという仕様でなかったのも気が楽でした。

更にデザインチケットなのも嬉しい。余談ですがこのデザインチケット、劇場の向かいにあるハリーポッターカフェで一部のメニューを注文すると貰えるペーパーと並べるとめちゃくちゃ可愛いです。映えます。

ゴールデンスニッチチケット、豪運じゃなきゃ買えないということ以外良いところしかないかもしれない。

 

もともと、私はこの舞台を観に行くつもりは殆どありませんでした。

前述の通りハリポタモロ世代人間なので気になってはいたんですが、キャスト・チケット代等々総合して考えると「残念だけど……」のライン。

たまに連番する仲の友人とも開幕前に「行く気ある?」「観たいけどちょっとチケ代が……」「だよねぇ……」という会話をしていました。だいたい友人誘って連番して結果おもんなかったら友情崩壊レベルの価格帯ですし。友情崩壊までは至らなくても今後二度と連番誘えなくなると思う。

これくらいの熱量の人間に優しいのがこのゴールデンスニッチチケットだなと思いました。5000円ならぶっちゃけ席がどこでもキャストが誰でも気にならないので気が楽です。今回は母を誘いましたが友人を誘ってたとえおもんなくても友情崩壊まではいかないでしょう。

  • 気楽に行ける
  • 友人、知人を誘いやすい

この2点は新規客を得るのにめちゃくちゃ効果がありそうで良いなぁと思いました。

ちなみに私は、値段相応に良いものだということがわかったし、安く観せてもらったのでじゃあいっちょチケッティング頑張って定価でチケット買いますか!これがゴールデンスニッチチケットのやり口かぁ〜〜となったんですが、次のチケットオープン時私が1番重要視していたアルバスとスコーピウスのキャストが出ていなかったので購入を諦めました。悲しい……。1回くらいセンブロかぶりつきで観てみたかった。

恥ずかしながらケチくさいオタクなので、この価格はキャストと座席位置めちゃくちゃ吟味して納得できなきゃ買えないなぁと。てかほぼ主役と言ってよい役のキャストを出さないでチケットオープンって本当に一体どこの層にチケットを売ってるんだろうとますます謎が深まりました。

こんなオタクが疲弊しそうな売り方ってことは従来の舞台オタク(リピ上等人種)はやっぱりターゲットじゃないんだろうなとか。

 

以上、取り留めのない感想になりましたが個人的な評価としてはとても良い舞台だったなと思いました。確実に閉幕までにあと何回かはリピすると思います。

作品を通して何度も何度も出てきた、アルバスとスコーピウスとの『僕が1番大切に思っているのは君だよ』という意味の言葉の応酬がとても綺麗だったのでこのあたりの台詞ついて自分の感じたことを言葉にしてまとめたかったのですが、長ったらしくなりそうなので別で書いておこうと思います。書けるかは知らんけど。

照れも衒いもなく必要な時に自分の気持ちをはっきり言葉にできるスコーピウスくんの性格形成についてゆっくり考えたい。彼、喧嘩して怒る時まで言葉選びが綺麗で優しくて衝撃を受けたんですよね。一体どうしたらあんな可愛い子が生まれるんだ……。

 

舞台「sweet pool」 感想

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生まれて初めて所謂2.5次元舞台の魅力を理屈ではなく感情で理解して感動したので忘れないうちに感想をまとめておきます。
 
  • 数年前に原作プレイ済
  • 哲雄√のみ観劇
  • 出演者全員初見(だと思い込んで観ていたので実質初見)
  • 出演者の発言等追っていません
 
原作ゲームが好きで今回観劇に至りました。もともと舞台化には否定的で観劇する予定は一切なかったので物理的に睦√善弥√は見られていません(配信も時間的に厳しくて断念)(再配信待ってます)
キャスト陣の発言等は最低限しか知らないので、もしかしたら私の感想&解釈が思いっきり食い違ってるただの妄想の可能性もありますがそんなことは知ったこっちゃねぇの気概で書いてます。
原作厄介オタクがただのオタク特有の早口で喚いているだけ。途中からもはやポエムです。
 
 

【原作オタク目線で見た "舞台化ありがとうポイント"】

一目でわかる、”優秀なオス” とは何なのか
哲雄=優秀なオス という設定は物語の根幹であり原作既プレイ者なら当然誰もが知っている事実だ。しかし原作オタクを名乗りながら私はそれがどういうことなのか全くわかっていなかった。
舞台上の哲雄を一目見た瞬間に突きつけられる「”優秀なオス”とは何なのか」のアンサー。「人生で一番好きなゲームはsweet pool」なんてことを言いながら、実際は文字上の哲雄しかわかっていなかった事実も同時に突きつけられる。ゲームをプレイしてからn年越しに、こんなにも哲雄=優秀なオスの解像度が上がることなんてある?????
私は原作の『しっかりとした骨格と固い筋肉。広い背中や、圧し掛かる重み』という描写と砂川哲雄の写真を交互に見比べてはため息をつくことしかできないし、オフィワの腕組みしている哲雄の立ち絵と配信特典映像で腕組みしている瞬間の砂川哲雄の筋肉パツパツ具合を見てため息つくことしかできない……。
砂川さん本当にありがとうございます。私はスイプを好きになってn年目にして初めて”優秀なオス”とはなんなのかを知りました。
 

永遠に見せてほしい。睦と蓉司のほのぼの日常会話

私が2.5舞台を観に行く時に1番恐れているのは過剰なアドリブだ。基本原作に不純物が混じることが許せない厄介オタクなのでアドリブという役者個々の解釈がでてきてしまうものが怖くて仕方がない(ので自衛の為にも2.5はほぼ観に行かない)
スイプのような空気感の作品でがっつりアドリブ入れられたら泣き喚いちゃうかも……と思っていたら、睦と蓉司のほのぼのアドリブ日常会話に別の意味で泣いた。
本編軸(重要)の中で睦と蓉司がたわいもない会話をしている、睦の太陽のような明るさが真っ直ぐ蓉司に向いているという瞬間は、あまりにも原作オタクの心に効く。このシーンが明るければ明るいほど、ただの男子高校生の会話であればあるほど、後半の展開がバチバチに映える。
あんなにも普通の友達同士としてはしゃいでいた2人が蓉司の"貴重なメス"という部分によって狂わされていくのもしんどいし、2度と来ない「また、学校で」になるのもしんどい。
最初はここでアドリブ要素ぶっ混むんだ〜ふ〜〜ん……と観ていたのがそのことに気がついた瞬間、いつまでも2人でお喋りしていてくれ……という気持ちにすり替わった。睦と蓉司が明らかに"仲良し"で、息ぴったりのアドリブガンガン入れてくれるのは健康に効く……。
これはもう原作では望めない、本編軸の(重要)蓉司と睦の平和だったころの学校生活新規供給なのだ。もういくらでも見せて欲しいし、くだらないことで笑っていて欲しい。願わくばこのまま学園祭までやって欲しい(無理)
杉江睦の太陽のように真っ直ぐな明るさは原作オタクの心をも照らす……。2.5次元舞台でこんなにもアドリブに肯定的になれる日が来るとは思わなかった。
 

エンディングのダンスシーン

sweet poolを舞台化した意味とは全てここにあると思う。哲雄の喪われたはずの微かな記憶と胸の痛みとの邂逅をダンスで表現するって天才すぎんか?????これはゲームという媒体では成し得ない演出で、スプステという作品で1番好きなシーンだった。
このシーンは原作でいう、PC画面を流れるエンドロールを茫然と見ている時間だと思っている。咀嚼しきれない2人が辿り着いた結末に、わけもわからないまま涙して2人の幸せについて思いを馳せた、あの時間だ。
EDのダンスは、あの瞬間の胸の喪失感が目に見える形にされていながらも”ダンス”という表現技法であるために受け取り方は各々の解釈に委ねられているのが素晴らしいと思う。余韻の残し方が原作ゲームの空気感を何一つ損なっていなくて原作オタクとして感動しっぱなしだった。
私はこのシーンを哲雄と蓉司の邂逅とは思っておらず、哲雄は蓉司のことをはっきりとは思い出していない派閥の人間だ。EDのダンスの様に哲雄は一瞬記憶の蓉司に触れる(思い出す)ことはできても、瞬く間にその手をすり抜けてしまっていると思っている。以下は私の解釈になる。
微かな記憶を必死に掴み取ろうと哲雄が手を伸ばす一方で、その記憶の奥にいる蓉司が淡く微笑んでいるのがあまりにも解釈一致だった。蓉司の願いは『哲雄に生きてほしい』だったことを考えるとあの慈しむような表情に頭を抱えるしかない。
一方哲雄の頬には涙が伝っていて、それをオペラグラス越しに見た瞬間叫ぶかと思った。
哲雄の涙といえば、オフィワ掲載SS「夕映え」でも見られるが、あれは蓉司と過ごした記憶のある哲雄が、蓉司を喪ったことを"理解して"流した涙だった。
それに対し、この涙は『何かを喪った記憶は朧げなのに、喪った悲しみだけは身体がはっきり記憶してる涙』なのだ。頬を伝う涙が哲雄自身には何の涙なのか"理解できていない"というのが最高にエモい。
本来、ガッチガチの原作遵守でいくのならばこのシーンで哲雄が泣くことはないのでは?と思う。原作にもそのような描写はないわけだし、このルートのここで哲雄が泣いてしまうと「夕映え」の涙の価値が暴落してしまうので。
しかしこれは舞台で、舞台とは生身の人間がその瞬間瞬間をキャラクターとして生きているのを目の当たりにできるコンテンツだ。哲雄として生きている役者さんが、記憶を失った演技をしながらもそこで涙したということはそれは紛れもなく哲雄の涙なんだと、スッと理解できた。そこに原作との矛盾も「夕映え」との不整合性もなにもないのだ。
これは舞台というコンテンツでないと存在し得なかった涙で、だからこそ興奮で気が狂うかと思った。
原作をプレイしてから何年も思いを巡らせ続けたあのエンドに、新たに光が差し込まれたことに感謝の気持ちしか湧かない。
 

令和に再び本編軸のsweet poolを味わうことのできた圧倒的感謝

全てはこれに尽きる。
原作プレイ直後のあの時の気持ちは、きっと記憶を消してゲームをし直すことでしかもう味わえないと思っていた。それをゲーム発売から10年以上経った今、こうしてプレイした当時のように盛り上がらせてもらえたことにいち原作ファンとして感謝と感動しかない。
ゲームをプレイし終えた瞬間から、もう本編軸の蓉司たちを本編をプレイしていた時と同じ濃度で浴びるのは無理なことだと思っていた。何たって本編があのEDなのでもうどうしようもない。
オタクが新たに摂取できるのはほぼほぼ本編軸ではない世界の蓉司たちで、もう何年もそうやって派生の哲蓉を啜ってきた。もちろんみんなでカラオケに行く彼らも、文化祭を楽しむ彼らも、クリスマスツリー(物理)になる哲雄だって全部大好きだが、それでもやっぱり「本当に求めているのはこれじゃないんだよなあ」という気持ちを心のどこかに感じていた。
原作ゲームに綺麗にまとめられた、蓉司と哲雄がたどり着いた結末を愛していながら、この世界軸で新たな供給が欲しいと願ってしまうジレンマとどうにか折り合いをつけていたある日、突然こんな高濃度本編軸哲蓉を浴びせられたらそりゃ気が狂う。
舞台上では本編軸の数日間を、蓉司たちが『彼ら』に抗いながら必死に生きていた。劇場という非日常の空間で味わうそれは、確かに初めてゲームをプレイした時と同じ興奮を与えてくれた。
この事実に、sweet poolという作品を舞台というコンテンツで最高の形にして届けてくださった全ての関係者様に感謝の言葉を言いたい気持ちでいっぱいだ。特にキャストの方々は作品を、キャラクターをとても大切に読み解いて全身全霊で演じてくださっているのだということが節々から伺えて、もうありがとうございます以外の言葉が出てこない。
私は割と物見遊山気分でふらふらと舞台を観に行くタイプのオタクだが(今回だって本当は物見遊山の筈だった)、過去に何度か舞台のジャンルを問わず「この役者は一体どういうつもりでその役として舞台上でこういう振る舞いをしているんだ」と思わせられるようなものを見せられたことがあった。
それは単純に技術が足りないとか自分と役者の相性が悪いとかそういう類いではなく、率直に「え、どういうつもりなん??作品ちゃんと理解してる??ここはあなたのファンだけが観にきてるわけじゃないんすけど???」という感じのものだ。
そんな過去があるので正直スプステもそこまで期待していなかった。キャストの方々を侮っていたというよりは、あまりにも原作が舞台として演じるのが難しいものなんじゃないかと思っていたのだ。
なんたって、男子高校生がある日突然肉塊を産む身体になりながら淡々と話が進んでいくR-18BLゲームである。しかもエンディングは決して万人受けしない終わり方。もうどこから突っ込んでいけばいいのかわからないくらいハードルが高い。
ジャンル内オタクの間でさえ賛否両論あった作品をBLゲームをやったことさえないであろうキャストの方々が理解しきれないのは、それはもう仕方がないだろうと、そう何様目線のことを考えていた。
それがどうだ。実際に見てみれば舞台上で生きる彼らは私が愛したゲームのキャラクターそのままで、目に触れるインタビューやコメントを見るだけでもキャスト陣がキャラクターを深く理解されていることがわかる。
オタクとしてこれほど幸せなことがあるだろうか。いや、ない(反語)
駄目だ、書きながら感謝で泣けてきた……。スプステがあったことで原作既プレイのファンは更に作品を好きになったり、原作未プレイのファンは原作に興味を持ってプレイしていたり、ドラマCDが再版されたりしているんですよ???令和にsweet poolの話をしている人がたくさんいるんですよ???いや、もう感謝以外何があるんだって思う。私の語彙ではもうこれ以上の感謝の言葉は出てこないので、楽しい時間をありがとうございましたという言葉で締めたい。本当にありがとうございました。
 
 
 

【作中思い出し所感】

オープニング
『産めよ、増えよ〜』から始まるの、一瞬にして原作を思い出させてくれて良かった。全然関係ないけどエリザのオープニングを思い出した。こんなんじゃなかった?
 
本能風呂
舞台を観に行ってこんなスペキャ顔晒したの生まれて初めて。
後日原作既プレイオタクにこのシーンの話をした時、なんて言えばいいかわからなくて「ダチョウ倶楽部の押すなよ!風呂が出てきた」と説明したのは申し訳なかった。この時「冷静に考えるとなんであの風呂スケルトンだったんだよ」と盛り上がったが、今考えると“お湯が赤に染まる“って表現のためか……。なるほど。
 
雨の中アレでアレするシーン
ほぉーんって顔して観ていたら、画面フラッシュして笑うかと思った。いや、もしかしたら雷だったのかもしれない。
PCゲーマーだったら皆それが何を指すのかわかってしまう画面フラッシュを舞台演出として取り入れられているのが斬新すぎてめちゃめちゃ面白かった。
でも冷静に考えて舞台演出に画面フラッシュ取り入れられることなんてある?って気もするのでやっぱり私の見た幻覚だったのかもしれない。
 
ベッドに座る2人の絶妙な間隔
蓉司が初めて哲雄の部屋に入ったときのあの絶妙な2人の距離isサイコー!!!
原作はスチルもなく『ベッドに浅く座った』以上の描写が無いので、実際に“蓉司がごりっごりに哲雄を警戒しながらも何故だか抗えない“って距離感を形にして見せつけられて頭を抱えた。良いタイミングでMiracles may流し始めるのやめてほしい。原作オタクはすぐ泣いちゃうから。
 
哲雄の眼鏡
尺の都合上仕方がないのはわかっているけど、あまりにも哲雄の眼鏡タイムが唐突かつ一瞬でイメクラみたいになってて笑った。何で眼鏡の哲雄、ブロマイドにならなかったんですか??
 
 

【そのほか所感】

Miracles may 日本語ver
この令和にMiracles mayの日本語verが聴けるとか、そんなのって信じられる???
「日本語で……」と言われた瞬間喉奥でヒッ……って言ってしまったし正気が保てなくなるかと思った。特大濃度の本編プールエンドを浴びた直後に生のMiracles may 日本語verはどう考えてもオタクを殺しにきてる。正直今でもよく生きて帰れたなと思う。
ところで歌う前にあったかなこ嬢+哲蓉トーク
櫻井さん「舞台観て、どうでしたか?」
かなこ嬢「素敵でした!」
櫻井さん「どのシーンとか……」
かなこ嬢「絡みのシーンよかったです!」
櫻井さん「本当ですか!お風呂のシーンは……」
かなこ嬢「…!よかったです!」
櫻井さん「言わせちゃった♡(ニコニコ)」
砂川さん「(ニコニコ)」

ってしてるの可愛くてよかった。

 
カーテンコール撮影会
カーテンコールを撮影可、SNS投稿OKにしてくれた公式にひとまず感謝の意を伝えたい。これがなければ私がスプステを観に行くことはなかったので。
実際のところ、sweet poolのオタクはMiracles mayにめちゃ弱なので(偏見)、あのカーテンコール映像がSNSに出回ったことによって劇場に向かったオタクは一定数いたんじゃないかと思う。絶対私だけじゃない。キラナイでMiracles mayが流れ始めた瞬間オタクたちが啜り泣き始めるというのは有名な話だし……(有名か?)
TLに流れてきたカテコ動画を見た時の自分を振り返ると、撮影・投稿可のイベントの宣伝効果ってそれなりにあると思うので日本の舞台ももっとやって欲しい。閉幕後ロスに苦しむオタクの心も救われるし。
あと、日本でカテコ撮影初めて経験したけど手厚くてびっくりした。正規(?)のカーテンコールをしっかり見せてもらえたうえ、役者にしっかり拍手も送れる。その後に撮影の説明があっていざ撮影会!ってオタクに優し過ぎない???
暗転の瞬間にカメラ構えなきゃ出遅れるし、レンズ覗いててカテコの記憶が曖昧、みたいな世界しか知らなかったから、涙拭いて鼻水拭いてカメラのレンズキャップ外す時間まであることに感動した。
かつてsweet poolとかいう作品に歪められた性癖の都合上、『もう2度と触れられないけれども確かにそこに愛はあったんや……(虚空を抱きしめながら)』みたいな終わり方の作品ばかり観がちなので、限界精神顔面大洪水のままパシャパシャすること多かったから……。
ちなみにここまで手厚くしてもらいながら、撮れた写真がこれなので草も生えない。真っ暗やんけ。
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20日アフタートーク
腐女子もびっくりの際どい言葉選び(まじでそんな言い方していいんか?大丈夫?ってどきどきした)でオタクが欲しい情報を引き出してくれるMC福地さんと、それに抵抗しつつ盛り上げてくれる櫻井さんにその後ろでニコニコと無抵抗な砂川さんの組み合わせが神がかっているアフタートークだった。
確か18日の福地さんのカテコ前挨拶が、原作ゲームをプレイしてBLっていいなぁと思った。自分も絡みある作品やりたい等仰っていた気がしたのだが(うろ覚え)あれは今日の伏線だったのか?と思うくらい、一貫して腐目線のトーク展開。個人的にはオタクみんな(主語デカ)を狂わせた砂川哲雄の筋肉について蓉司役からの言葉を引き出してくれたのが最高だった。
櫻井さん「えっ、抱かれてみて?……はは、えーー……こんなこと話せるのsweet poolくらいですよね(笑)」
砂川さん「(ニコニコ)」
櫻井さん「……すごいですよ。筋肉が目の前でバーンってなって……、バーンってされたら俺なんて飛んでいっちゃう」
砂川さん「いや、圭登さんが病弱で線の細い身体づくりしてるから僕がよく見えるだけですよ~(ニコニコ)」

って会話の流れ、やっぱ蓉司視点から見ても哲雄の筋肉凄いんだ……って感想と哲雄から見るとやっぱ蓉司は病弱で線が細く見えているんだ……って感動と(実際のところ櫻井さんも綺麗な筋肉の付き方していた気がする…あんまちゃんと見てないけど)砂川さんのほわほわフォローの可愛さで100億満点すぎた。

他にも、ベッドに並んで座ることを「ベッドイン」と言い強要する福地さんに対し抵抗を試みる櫻井さんとそんな櫻井さんをしり目にさっさと座ってニコニコと自分のとなりをポンポンする砂川さんとか、ティザービジュアル再現を要求する福地さんに対し「散々抱き合ったじゃん……」と抵抗を試みる櫻井さんの後ろでスッと立ち上がり1人ポージングの確認をし始める砂川さんとか、とにかく3人の組み合わせが神。
オタクって頑なに抵抗されるのもしらけちゃうし(面倒くさいオタク)、逆にノッリノリで営業()されてもしらけちゃう(面倒くさいオタク)とこあるじゃないですか。その点、きわどいこと言いながらにこにこ詰めてく福地さんと、あまりのきわど発言にギョッとしながら抵抗してくれる櫻井さんと、ニコニコ無抵抗な姿で結局櫻井さんを折れさせちゃう砂川さんのバランスが奇跡。
楽しすぎて記憶はおぼろげだし、体感5分で終わっちゃったのでまたこのメンバーでのトーク聞かせてほしい。今度は1時間くらいの尺でよろしくお願いします。
 
砂川哲雄
あの城沼哲雄という男の要素全てに説得力を持たせてくれたビジュアルに頭をやられたというのもあるけれど、砂川さんご自身の発言がとても好きだったのでもうちょっとだけ砂川哲雄の話をさせて欲しい。
まず、ことあるごとに蓉司に対して「愛おしい」って言葉を使っていた事実。これ、味がしなくなるまで噛み締め続けたい。
哲雄の蓉司に対する「愛おしい」という気持ちは、哲雄視点ノベライズにおいて何度も出てきていながら言葉にされなかったものなので(多分)それを言葉にしてくれた事実だけで原作オタクは胸がいっぱいになる。
砂川さんの口ぶり的にも、蓉司に対する「愛おしい」という気持ちは哲雄というキャラクターを演じる上での一つのキーとなっていたのかなと感じられて、解釈ド一致ビジュアルに加え信頼感は天元突破した。
さらに、アフトで仰っていた「頭の中ではめっちゃ会話してる」という言葉。櫻井さんには「……どういうこと?」と笑って流されていたけど、こんなんノベライズ履修済みオタクたちみんな頭抱えたでしょ。
ノベライズにおける言葉にはされない哲雄の感情の揺れ動き、それを言葉にしない哲雄の不器用さも全部理解されてるんだ、と感謝と感動で咽び泣いてしまう。直球で「ノベライズ読み込みました!」とか言われるより信頼感がすごい。
このくだりは蓉司役の櫻井さんがさっぱりわかってなさそうなのもあわせて良かった。蓉司にとって哲雄は「なにをされるかわからないし、なにを考えてるのかもわからない」の補強すぎるじゃん……。
とにかく砂川さんの発言の節々から、この方は本当に私の愛した原作の哲雄を大切に演じられているんだと感じられてとても嬉しかった。
 
パンフ
いや、こんな内容ならもっとクソでか大声でアピールして!!!!
ページをめくる度に現れる新規供給ハイクオリティスチル再現写真に延々と「は?!?!?!?!?」と叫んでいた。え、なんでこんだけ素晴らしい写真データを錬成しておいてこれで一儲けしようと思わないですか????ブロマイドとかブロマイドとかブロマイドとか出して!!!個人的に一番好きだったのは電車の窓越しにこちらを見ている蓉司のスチル。再現度が凄い。
スチル以外だと淵井先生の「二次元のキャラクターと三次元の人間が~」というお話や、中屋敷さんの「俳優同士じゃないと生まれない感情~」というお言葉が胸に刺さった。今まで否定的だったので深く考えたことがなかった『二次元作品を舞台化する意義』について新しい考え方ができるようになった気がする。ところで今からでも遅くないんで新規ブロマイド出して。
 
チケット
ただのオタクのお気持ち長文。読まなくていい。
興行として成功かどうかは置いておいて、公演何ヶ月も前から熾烈なチケ戦争という名の情報戦を制さなければ観劇すらできない舞台より、開幕までは席を選ばなければチケットが買えて、開幕から段々と口コミやリピーターで満席になっていく舞台の方がオタク的にも幸せだし文化として健全だよなぁと常々思っている。興行としてどうかは置いておいて。
どうしても我慢できなくて当日開演2時間前に買った当日引換券の席が想像の30倍見やすくて公演内容も素晴らしくうっきうきな帰り道の電車で、向かいに座っていた人が今一番チケットが取り辛いと思しき某アニメ原作舞台のパンフを熱心に読んでいることに気が付いてふと思いを馳せてしまった。
前述のとおり、私はある日偶然TLに流れてきたカテコ動画を見て、そこに哲雄と蓉司が生きているならば彼らが生きていた証を見届けに行かなければいけないのでは?という思考に囚われ(完全に思考が拗らせキモオタク)、たまたま予定が空いた日にふと思い立って当日引換券を買って劇場に走ったのがスプステの初見だった。追いチケも同じような要領で買っているが、どちらもそれなりに見やすい席で楽しめた。
語弊が生まれそうな言い方になってしまうけれども、スプステがチケ戦争を伴うような舞台でなくてよかったなと思う。そうでなければまず私は観劇することができなかっただろうし、原作既プレイの知り合いに観に行ってほしいとスプステの話をして回ることもなかっただろうし、Twitterで大声で感想を叫ぶこともなかっただろうし、一日中悶々とスプステのことを考え続けた末に「これならリピチケ買っときゃよかった~~」と思いながら開演ギリギリに劇場に走ってさらに拗らせることもなかったので。
そりゃ好きな作品や自分が素敵だと思った作品が大人気作品であればもちろん嬉しいが、実際に観劇してみて心に刺さったからこそ「もう1回観たい」や「ひとに勧めたい」と思った気持ちが潰されてしまわないのはやっぱり楽しいものだ。
スプステ観劇の翌週に件の今一番チケットが(略)某アニメ原作舞台を観にいったのだが、周りに勧めて回りたいほど良作だったのにチケットは地方まで完売という事実が迂闊に感想も言えない気持ちにさせて悲しかった。カテコで御園座公演の配信が決まったとか何とか言っていたが、初見舞台を配信で見るってオタク以外には勧め辛いし御園座公演とかどんだけ先やねんって感じだし結局迂闊に感想も観に行っても言えんのよなと妙に白けてしまったのも相まって、なんだか観劇した時の感動も曖昧になっている。
スプステがいつか再演したとしたら、もちろんチケットが飛ぶように売れていてほしいけれども観劇して気が狂いながらその場で追いチケできる余裕もあって欲しいと身勝手なオタクは思ってしまった。
 
 
今回、睦√と善弥√を観劇できなかったのが本当に心残りだ。
舞台上の睦と善弥も、原作ゲームまんまでとても素敵だったのでそれぞれの√を観てもっとsweet pool という作品の解像度を上げたかった。哲雄√の彼らを観ただけでも、間違いなく解像度を上げてくれるんだろうなとわかったので。
睦√と善弥√の存在をはっきり知ったのが19日の夕方だったのは今思うと笑うしかない。配信も時間の都合で諦めざるを得なかったのでどうかまたオタクを助けると思って再配信して欲しい。
千秋楽から3週間が経った今でもスプステに想いを馳せ、パンフを読み返し、ever bule を聴いて、ノベライズを舐めしゃぶる生活をしているんだけれどもこのままGWを迎えたらどうなってしまうんだと思わずにはいられない。
どうかGWまでに、公演再配信だったり円盤化だったり新規ブロマイドだったり再演のお知らせだったりを何卒……何卒……(強欲なオタク)
 
 

 

2019年観劇まとめ

2019年が終わってもう1ヶ月も経っちゃってますが今更ながら振り返ります。8月に「今後は簡単にでも観劇記録を残していくようにしたいと思います」と書き残したのはなんだったのか。自分で見返して笑うしかありません(笑って誤魔化すな)せめて2019年、何を観てどう感じたくらいは備忘録として残しておきたいと思います。(備忘録なので自分にのみ配慮して割と言いたい放題しています。その点を踏まえ大丈夫な方のみどうぞ)

 

  • 「メイビーハッピーエンディング」

登場人物はみんな可愛いし、めっちゃ泣いた。作品には泣いたけど劇場入り口に涙&鼻水用と思しきティッシュが無造作に置いてあったのには笑いました。

 

  • 「ストーリーオブマイライフ」

曲が好き!役者によって受ける印象が全然違うのも楽しくて滞在中連日当日券を買いに行ってた。キャスト制覇の為、父親とのご飯の約束をドタキャンしたことは反省しているが後悔はしていない。

 

  • 「風月主」

後半の何が何でも泣かせてやろうという圧がすごい。こんなん泣く。おへぷは後半に向けてじわじわクレッシェンド(イメージ)で泣かせにくるし、SOMLは終わった後振り返ると全てが切ない泣かせ方だけど、風月主は「泣かせポイント!」ドーン!ドーン!!ドーン!!!って感じで泣かせにくる(わかるようでわからない説明)ユルさんの色気に死にました。メリバ厨は観るしかない。

 

  • 「最終陳述(日本)」

演出とマルチマンの方の熱演は良かったです。浅草で食べたもんじゃ焼きが美味しかったのと引いたおみくじが大吉で楽しかったです。

 

  • 「6時退勤」

曲も好きだし超楽しい。カテコがあまりにも楽しくて帰り道に追いチケのことを考えてた。何万回でも言いますが、私はユン代理に振られる女になりたい。

 

  • 「最終陳述」

行くつもりの作品の残席状況はきちんとチェックしておくべしという教訓を得た。こんな楽しい作品だったのか!!という驚きとギュウォンガリレオのド好みさに暫く最終陳述の話ばかりしていた気がします。

 

  • 「キャッスル」

2019年No. 1撃沈作品。私には難しすぎました。ギョンスベンジャミンのかっこよさがカンストしていたのと、ホームズさんたちの演技が好きでした。

 

  • 「フィクション」

これも私には難しかったうえ、一回しか観られず……。グレイ先生の儚げさ is good。

 

  • 「アラジン(日本)」

瀧山ジーニーは神✨

 

つまらなくはないけど面白いかと言われると……?バレエ技術が中途半端なのも気になるっちゃ気になる。多分感想レポートを書くとしたら8割ジョングディアギレフの話になると思います(察して)

 

  • 「R&J」

2019年最も観た作品で、今思い返してもまだ観たい。どのキャストで観ても楽しくて満足度が高かったです。ただ劇場の蚊は撲滅してほしい。

 

  • 「君のための文字」

2019年観た作品で1番曲が好きでした。ピアノと弦楽器(詳しくないので種類はよくわからない)が舞台上で演奏されてるのも良い。登場人物みんな良い人で個人的にはとても楽しめたけど、好きな俳優がいなきゃ楽しくない、と言われたらそんな気もする……。

 

  • 「リトルジャック」

切ない恋愛ものも儚げギュウォンさんも楽しめる一粒で二度美味しい作品でした。

 

  • 「死の賛美」

全サネ観ましたがどのサネもそれぞれ面白かった!!蓄音機がぶっ壊されたり壁に穴が空いたりウジンの咥内に拳銃がねじ込まれたりするアグレッシブミュージカル(語弊のある言い方)2020年もこれくらい女の人と絡むジョングさんが観たい。

 

  • 「ベンハー」

ミンウヒョクさんがどうしても観たくて行きました。やっぱり大劇場の迫力はすごい。メッセラ氏のことを思うと胸がキューっとする。それにしてもサネやメッセラを観ていると「チング #とは」状態になる。

 

  • 「シラノ」

2019年後半で1番泣いた作品(前半はおへぷ)初演とだいぶ演出が変わっていた気がする。生演奏でなくなったのは残念だけどやっぱり素敵な作品でした。まさかピリパラに泣かされるなんて……。

 

  • 「ヘドウィグ 」

意味もなく開演5分で号泣してました(完全にやばいオタク)なんかよくわからないけど感動したし、公演中ほぼフルでヘドウィグ役のおしゃべりと歌声が聴けるのは俳優ファン的にアツいなって思った。ただ他作品とマチソワできない時間の公演はやめてくれ。

 

2回目でやっと面白さが理解できたのに、マッコン間近で増やせなかったのが悔しい。2019年個人的観たりない大賞受賞。

自信に溢れた太陽のようなランボーと、それにとらわれたヴェルレーヌおじさんとドゥラエちゃんの関係性の描かれ方が秀逸だなと思った。ひとペアしか観てないけど。

 

  • 「ストーリーオブマイライフ(日本)」

最高すぎてマチソワ間友人とホリ◯ロ様に感謝しまくってました。まずキャスティングが神。まりおさんと平方さんとか歌声的にもバランス的にも神。アルヴィンの衣装は正直好みじゃなかった(というかどう解釈したらいいかわからなかった)けど靴はちゃんと履いてたし観ているうちに気にならなくなりました。期待してた配役ではなく逆の配役の方が好みだったのも予想外で楽しかった。個人的には役固定で最低1ヶ月の公演期間は設けて再演して欲しい!!日本で観劇のためだけに遠征するのって2016年エリザぶりだったんですが本当に遠征して良かったです。再演待ってます。

 

  • 「海賊」

男子ペアも女子ペアも観ましたが、どちらも違和感なく同じくらい楽しく観られました。すごい。

女子ペアの髪を纏めていたリボンを解いて止血するのには萌えころがった。幽霊船のメリーとルイスたゃの絡みが個人的性癖ポイント。そして最後にはうるっとさせられる大学路らしい欲張りセットな作品でした。実質最終陳述(違う)

 

  • 「ファンレター」

ヘジン先生がそれぞれ違ったヘジン先生でキャストを変えて楽しめました。楽しめたんですけど、前回はあんなにボロ泣きしたのに今回は一回も泣いてないのが自分でも謎。

もう1575793583563853回くらい言われてると思うけど音響をどうにかして。

 

演劇なのに予習ゼロで挑み、不安しかなかったけれどとーーーっても楽しめました。前半は嫁といちゃいちゃして後半はショー(雑説明)派手で楽しい作品かと思いきや考えさせられたりもして総じて満足度が高かったです。キレッキレで躍るヨンソクさん、女の私の167294376426428万倍くらい可愛かった。

 

2019年も素敵な作品や素敵な俳優さんに出会えた楽しい年でした。2020年はまったりと観劇を楽しみつつきちんと記録を残していけるようになりたいです。

ファンレター(팬레터)キャスト別感想

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公演自体は2/2までですが、1月は忙しいのとソホセフンが居ないのもあって一足先に今期のファンレターを締めてきました。こうやって書いているとまだまだ観たいような気もしてきますが、全キャスト観ることができたうえLP盤も貰ったのであとは気長にDVDが出るのを待ちたいと思います。キャストが多いので最推し組み合わせで観るのも難しそうですし……。

ということで、忘れてしまわないうちにキャスト別感想をまとめておきたいと思います。申し訳ないのですが、7人会の先生方は印象に残っている方のみです。私にあと4つくらい目と集中力があれば良かったのに……(泣)

個人の好みと性癖バイアスかかっている感が否めないので、全部語尾に(※個人の感想です)と脳内で付け加えておいてください☆

 

 
〈ジェボムヘジン先生〉

可愛い。とにかく可愛い。

全ヘジン先生の中で1番明るくてふわふわしていて良い意味で普通の人に近い。ヒカルさんの話をする時は照れて「ひ、ひ、ヒカル………さん(尻すぼみ)」になっちゃうし、ヒカルさんに送る本を取りに行く時はツーステップ踏んじゃってるところをセフンに見られて照れながら誤魔化したりする。可愛すぎか。

180センチでさえ小さくなっちゃうこのファンレターの世界線において、華奢で小柄なジェボムヘジン先生がみんなから「ひょん~♡」と慕われる姿はヘジン先生愛され小説を読んでいるのかと錯覚する。ミンユン先生相手だと「美味いもの食べに行こう!」のシーンの絵面がもはや拉致。

失礼ながら死の賛美のジェボムサネで撃沈(解釈が全く理解できなかった)したのを引きずってあまり期待しないで行ったところ、びっくりするくらいヘジン先生で、とっても良くて秒速で掌を返しました。ヒカルの名前を出すところで照れちゃうヘジン先生って新しくてびっくりしたんですが、すんなり納得させられてジェボムさんの新しいヘジン像サイコーだな!ってなりました。サイコー!!

 


〈ジョングヘジン先生〉

私のファンレターの最初の5回を全部ジョングヘジン先生で観た影響もあって、私の中のヘジン先生は今後何があろうとジョングさんなんだろうなと思います。

セフンの愛した春のように暖かな優しさと、ヘジン先生の抱える孤独から生まれる狂気、なんていうかファンレターという作品の中を生きるヘジン先生そのものなんですよね。上記の通り、個人的な思い入れもあってそう感じちゃうだけなのかもしれませんがそれ以外になんて言えばいいかわからない………。

 

〈ギョンスヘジン先生〉

控えめで繊細そうな文学青年風なヘジン先生でした。あれは絶対病弱だし良家の坊っちゃまに違いない。サナトリウムで恋に落ちるタイプです(※個人の妄想)そんなギョンスヘジン先生が得体の知れない女にのめり込んでいくのはなんていうか、三島由紀夫とか谷崎潤一郎とかあの辺の小説を読んでいるような気分になりました。知らんけど。7人会を辞めて1人引き篭もるようになるシーンは「拐かされる」って言葉がよぎる。

ギョンスヘジン先生だと作品自体が「怪しい女に魅了された文人の物語」って感じでセフンの印象が薄いです。"Muse"のシーンでセフンが「(ヒカルには)会わない方が良いと思います」と言った時の反応でヘジン先生がセフンの正体について薄々気づいているかどうかが判断できると個人的には思っているんですが、私が見た回は恐ろしいほどサラッと流されていてびっくりしました。気づいている、いない以前に、もうヘジン先生には「ヒカルさん」という1人の女性しか目に入ってないような……。そう考えるとセフンに接するときも、人として当然だから下の立場の人間に優しく接してるようにしか見えないんですよね……。ほら、育ちが良いから……(※繰り返しますが個人の妄想です)

ギョンスヘジン先生は"해진의 편지"で『그녀』の部分を『그이』と歌いますが、これも育ちが良くて人間が出来ているから時間をおいて心を整理したあとはヒカルではなくセフンを認めてしっかり向き合っているように感じました。他の先生たちに比べてセフンと先生の作り上げた虚構の物語感が薄いギョンスヘジン先生ですが、細かい仕草や表情がとてもヘジン先生で(?)ジェボムさんともまた違う新しいヘジン先生像が素敵でした。お酒を飲んだら楽しくなっちゃうタイプのヘジン先生可愛すぎるでしょ。惜しむらくはギョンスさん自身がすらりとした優男な俳優さんなので7人回の先生たちから「ひょん〜」と呼ばれているのに若干の違和感を抱いてしまうことでしょうか。


〈ギュヒョンヘジン先生〉

真面目で優しいからこそ破滅の道……というと言い方が悪いですがああいう結末を招いてしまったように感じました。ちょっと控えめだけどちゃんと社会生活できそうなタイプ。真面目じゃなかったらあんなにヒカルからのお手紙几帳面にまとめてないでしょ(そこ)個人的には「小説を書いたら原稿を見せてね」のところで指切りしてくれるのが優しすぎて泣きました。誰からも愛されなかったセフンに未来の約束をしてくれるって……(泣)

指切りした後のセフン見た??指切りした形のまま手を光にかざして大切そうに胸に抱いてたよ!!!こんな約束させられちゃったらセフンの半身であるヒカルが「(原稿を)送らなきゃ!」って言い始めるのも納得です。

 

 

〈ヨンギュセフン〉

ドミニコさんやドゥラエちゃんのイメージから、受け入れらない切なさとか哀しみをごりっごりに出してくるのかと思っていたら予想外に明るくて元気なセフンでした。よく泣くけどヨンギュセフンは素直でまっすぐだからこその涙なんだろうなって。ただただ悲しくて寂しくて泣いてるみたいな……?ヨンギュさん4セフンの中で1番小柄なのもあって少年っぽい演じ方をされると本当に少年みたいで可愛そうでした。

 

〈ヒョンフンセフン〉

新セフンの中では1番正統派(?)なセフンのように感じました。ちゃんと心の奥底に悲しみを抱いてる。私が大好きなのが2幕最初の先生たちから投書をしたんじゃないかと疑われた時のヒョンフンセフン。このシーン全セフンの中で1番好きです。割と声を荒げて否定するんですが、表面上は怒っているのにその裏に先生たちから信じてもらえなかった絶望や諦念が見えるのが「セフン」というキャラクターそのもので好きです。あと、ドラム缶の中に投げ入れらた本をしゃがんで覗き込んで悲しそうな顔をするところも細かくて好き。

 

〈ソンイルセフン〉

今期唯一の継続セフンです。

新セフンたちは根暗感…?というか心の奥底に巣食う孤独や寂しさにあまり重点を置いてるタイプのセフンではないように感じていたので久しぶりにソンイルセフンを観た時には「セフンだーーー!!!!」となりました。私は再演の時からソンイルセフンのことを「春(先生)の風の中でしか生きられない繊細な花」と表現していますが(ポエムオタク)まさにその通りなんです(自画自賛)何がどうセフンなの?と聞かれるとうまく言えないんですが、ソンイルセフンが私の考えるセフン像だなと強く感じた瞬間が"아무도 모른다"です。

他のセフンたちはこのシーンで泣いていることが多かったと思うんですが、私が観た回のソンイルセフンは瞳に孤独を滲ませながらも諦念したように淡々と歌っていました。その隣で目に涙を溜めて膝に顔を埋めるジョンファヒカル。この2人の対比があまりにもセフンとヒカルで序盤から最高すぎました。セフンの生い立ちが見え隠れする仄暗い繊細さのあるソンイルセフン、流石の初演キャストだなと感じました。

 

〈ソホセフン〉

なんていうか斜め上のセフン。先生に対する態度が完全にファンのそれ。純粋でぽやぽやで、目の前のことをどうにかしようと選んでいった選択肢の先にあの結末があったという印象でした。こんな子が「本を踏まれた」という理由で人を殴れるのか……?!?!"Muse"で先生から奪ったヒカルの手紙の住所部分を、証拠隠滅しようと台拭きで擦り続けていた姿を私は一生忘れない。"고백"から"해진의 편지"の先生への罪悪感に押しつぶされたように泣き崩れるのが好きでした。

12月11日マチネ1幕の役作りが新しいセフンとしてとても好きだったんですが、残念ながら早抜けしてしまいあの路線のセフンがもう観られないのが悲しいです。辛いことや悲しいことを全部のみこんで寂しげな微笑を浮かべるセフン、悲しくて好きだったんですけど……。

 

〈ジョンファヒカル〉

セフンの鏡合わせの存在であり共犯者。ちょいちょいセフンに対して人差し指を唇に当てて「しーーっ」ってするのが無邪気で自分の心に正直でヒカルって感じ。寝ているヘジン先生の手に触れる瞬間のセフンへ向ける笑顔が世界一可愛い。"거울"では今まで共にあったセフンに反抗され、混乱したように声を荒げる。

 

〈ヒオラヒカル〉

セフンの暴走した欲望。

美しく自信に溢れている「ぼくのかんがえたさいきょうのひかる」

"거울"は一寸のためらいもなくパワーで押してくるヒカル。怖い。セフンの文学に対する欲望とヘジン先生の文学に対する欲望を吸い上げて成長してしまった狂気と美しさが至高。

 

スヨンヒカル〉

純粋なセフンの半身。

白いブラウスの時のフレッシュさと可憐さはNo.1。"거울"の時セフンと先生の間に立ち塞がって「私たち一緒にやったじゃない……!!」と泣きそうになりながら訴える。もっとヘジン先生の側で小説を書いていたいというセフンの純粋な願いが滲むヒカルであまりにも可哀想。

半泣きでセフンを突き飛ばしながら言う「隅で楽にしてなさいよ!」のセリフのニュアンスがヒオラヒカルの同じセリフと180度印象が違って面白いです。個人的な意見ですが今期新キャストで1番良いと思う。

 

〈ジョンピョユン先生〉

ツンツンツンデレユン先生(※しかしヘジン先生との友情は厚い)

ジョンピョさんのユン先生は、ちょっとセフンに対して嫌味っぽい部分もありながら、でもなんだかんだセフンの才能と親友の愛したセフンを大切に思っている先生です。7人会に加入したヘジン先生の上着を脱がして椅子に掛けてあげるところが地味に好き。

生の伴侶でヘジン先生を説得するシーンは絶対観た方が良い。一旦座ってヘジン先生と視線を合わせたあと、先生の手を握って説得を始めたりとしっかりと親友と向き合っているのがサイコー。ほんとジョンピョユン先生のこのシーンサイコーなのでよろしくお願いします(?)

 

〈ジョンミンユン先生〉

大きくて暖かくて人誑しなユン先生。

ミンユン先生が居るだけで周りの空気が明るくなるような気がする。拘置所でのセフンとの対面で初っぱなから「これは誰だ〜?」と笑いながらわしゃわしゃセフンの頭を撫でていて死にました(私が)

ミンユン先生だけ(多分)「一番好きな作家はだれなんだ?(2回目)」がアドリブなので、初めて7人会の事務所にやって来たヘジン先生が無人島……動物園状態の事務所に入らざるを得ないのが気の毒過ぎてウケる。

ミンユン先生はどのヘジン先生よりも大きいのでヒカルへのお手紙(血書付き)を半ば無理やり見るシーンや「そんな手紙はセフンに任せて美味いものでも食べに行こう」のシーンは物理攻撃でどうにかなると思ってそう。ヘジン先生の上に座ったら先生潰れちゃうよ( ˙-˙ )

でも少しも強引に見えないのがミンユン先生の人誑しなところだと思います。

ところでこれは本当にあった怖い話なんですが、ミンユン先生こんなにおっきいのに7人会で1番小さい日があったりする。

 

〈スンリテジュン先生〉

もう私はスンリテジュン先生の夢女です。嘘ですけど。セフンを見つめる眼鏡の奥で細められた目元が優しくて優しくて好き!!!!観劇後半はスンリテジュン先生が居るか居ないかで観に行くが行かないかを決めていたと言っても過言ではありません。

セフンがスナム先生の詩の暗唱で詰まっちゃった時に後ろから小声で「おもに…」と囁いてくれるのも、ユン先生とスナム先生から貰ったサインを見て見て!ってするセフンに優しく頷きながら自分もサインしてくれるのも、投書騒ぎで疑われたセフンが事務所を出て行くのを必死で引き留めようとするのも、全部スンリテジュン先生の優しげな風貌に合っていて好きです。個人的には"신인 탄생"でヒカルをセンターへエスコートする姿がめちゃめちゃかっこいいのと、ヒカルの正体を疑われセフンが文字を書かされるシーンで「自分が確認しなきゃ」と駆けつけるも見ていられないように目を背けていてユン先生の「似ているような……似てないような……」の言葉で初めてほっとしたように自分も紙を覗き込むのがポイント高いです。

スンリテジュン先生の優しさとミンユン先生の暖かさが揃った7人会なんて実質セキ◯イハイムみたいなもんですよ!!!!

 

〈スンヒョンスナム先生〉

スナム先生の持つロマンな心や文学への熱い想いを余すとこなく見せてくれるのがスンヒョンさんのスナム先生です。ファンレターは基本セフンとヘジン先生、そしてヒカルの物語なので7人会は特に注視するほどでもない、そう思っていた時期が私にはありました。しかし!しかしですよ、スンヒョンスナム先生が居ると「どうしてあの時代において先生たちは文字を書くことにこだわったのか」「文章を書くことがどれほど生きる支えになっていたのか」というのがビシバシと伝わってきて物語に圧倒的深みを持たせてくれます。

前半のドンホファンテ先生とのわちゃわちゃや"Muse"で傷心のヘジン先生の手を握って慰めてくれるところも素敵なスナム先生です。

 

再演から新たなキャストが追加されての三演でしたが、新しい形のファンレターが観られてとても楽しかったです。特にヘジン先生はどなたで観てもヘジン先生だ!!となるのにそれぞれ違ったアプローチで面白かったです。あまりにもキャストが多いので全て自分の推しキャストで観るのは外国人にはほぼ不可能という点が悲しくはありますが。

それにしても今期ファンレターの平均身長いくつですか????セフンたち(基本180前後)が小さく見えるってどういうことやねん!!!

自分が行く前に、母を「高身長足長なヘジン先生とセフンをよろしくな!!」とジョングヘジンソホセフン回に送り込んだ過去があるんですが、感想を聞いたら「2人とも別に高身長じゃなかったけど……」と返されチケット買った回を間違えたのかと本気で確認しました。183センチが高身長じゃない世界線なんてあってたまるか!!!(あった)

余談なうえに話が逸れちゃいましたが、最後に高身長7人会の先生方に囲まれるヘジン先生とセフン&ヒカルの写真で締めさせていただきます。

 

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【9月10日 ソワレ】 演劇「R&J(알앤제이 )」

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【2019.9.10 ソワレ】

学生1: チ・イルジュ

学生2: カン・ヨンソク

学生3: ソン・ユドン

学生4: オ・ジョンテク

 

オタクの「行くか迷ってる」はすなわち「行く」

この日は「(暇だし学生2はヨンソクさんだから行きたい気持ちはあるけど、今日行ったら3日連続R&Jになっちゃうしぶっちゃけイルジュさんとの組み合わせは前回観たから今日行く必要性もあまり感じないし)行くか迷うな〜」って感じだったんですが、気がついたら劇場にいました(^ω^)

そもそも、午後は東国大のカフェでお茶してたんですよね。完全に行くフラグしか立ってないやつ。そのカフェでお会いしていた方に「R&J行くか迷ってるので東国大のカフェでもいいですか?」って前もってお願いしてましたからね。行く気しかないやんけ。

前置きが長くなったんですが、何が言いたいかというとこの時行ったカフェが良い雰囲気のお店だったので今後イヘランに行くことがあったらまた利用したいなと思いました。あとオタクの「行くか迷ってる」はすなわち「行く」。必ず行く。劇場から徒歩7分くらいかな?大学路と違い、行き慣れていない&カフェも少ない(体感)東国大で良い休憩スポットを見つけられて大満足です。

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猫のマークが可愛い、素敵なお店でした。

 

以下ざっくりした覚え書きです。曖昧な記憶と台詞で書いてますのでその点よろしくお願いします。

 

この日の学生1と学生2の組み合わせは一度観たことがあったんですが、1ヶ月の間に何かがあったのか、はたまた私の理解力が少しは追いついたのか新しい気づきや解釈ができてとても楽しかったです。個人的にはとても楽しかったし良いシーンもたくさんあったんですが、カーテンコールで頑なに立たない方が一定数いらっしゃったのでリピーター的に看過できない何かがあったんだろうな……と調べたら割と台詞とかトチっていたらしくて……。聞き逃したかな?と思っていたところとかも飛ばしてたらしい。

何がショックって、自分が台詞に頼らない観劇の仕方をしていたことが浮き彫りなったことがショックです。ぶっちゃけ最後の制服を宙に投げるタイミングを間違えてたところしかリアルタイムでトチったの気づかなかった………。

それはさておき、この日まずテンション上がったのがジュリエットが「성자의 손은 순례자의 손을〜」あたりの台詞を言いながら自らの手を見つめロミオの唇が触れた箇所にそっと唇を寄せていたことです。これは太字で「※個人の妄想です」と付け加えておいて欲しいんですが、個人的には学生2とジュリエットの感情がリンクした行動なのかなと思いました。

厳しい学校生活をおくる学生2(もちろん他の3人も)は恋が何たるかすらすら知らなかったと思うんです。そんな彼が自らを重ねながらジュリエットを演じるというのは、実質この夜が学生2の初めての恋と言っていいと思うんですよね。台詞を紡ぎながらも瞳はロミオの唇が触れた場所を熱っぽく見つめていて、初めて知った感情に戸惑うように同じ箇所にキスをする。もし、学生2が "ただジュリエットを演じている" だけであれば恋を知らない学生2にこの初々しさと戸惑いは出せないと思うんです。知らない感情を演じることはできないので。

ジュリエットが初めての恋に身を投じると同時に学生2も同じように初めての恋に身を投じている。ヨンソクさんの演じる学生2を観る時は特にそう感じました。

そして気になったのが「로미오, 당신의 이름은 왜 로미오인가요? 」の言い方が8月に観た時と変わっていたことです。

8月は感情を吐露するような切ない言い方だったんですが9月に観た時は衝動を絞り出すような激しい言い方でした。

ロミオと触れ合った両手をそっと合わせ、キスされた手の甲に触れ、顔を覆った後どうしたら良いのかわからない感情が溢れでたように言うんです。2幕でも強く感じたんですが8月に比べ感情の振れ幅が大きくなったような印象でした。多分ヨンソクさんの学生2は感受性が豊かで感情のキャパを超えると涙が出てくるタイプの子なんだろうな………と。(その点スンアンさんの学生2はキャパを超えると声を荒げていた印象)

ヨンソクさんの学生2、2幕ではひたすらに泣いていた印象なんですが、一瞬の笑みもことごとく裏切られていくのが辛過ぎて………。にこにことロミオを待っていたら「追放されたやで」って言われたり、薬を飲んで仮死状態になるもののやっとロミオに会えると思ったら行違いになると判明したり……速攻で絶望の淵に突き落とされ顔を覆い嗚咽するヨンソク学生2が可哀想すぎて目が離せません。ロミオに毒薬を渡すシーンで「なんでこの役割を学生2にやらせるん???もうこれ以上彼を苦しめる必要なくない???」ってキレてたのは私だけじゃないですよね????いや、ほんと、ただでさえぼろぼろに泣き崩れている学生2に、愛する相手を死に導く役割を担わせるってむご過ぎません??

そんなぼろぼろに泣いている学生2を観るのは辛かったんですが、舞台に背を向け拳を握りしめて泣き臥せっている学生2(ジュリエット)の手を学生4(乳母)が上からそっと握ってあげていて、学生2もさらにその上から手を重ねていたのを見て、学生たちの絆というのを強く感じました。

8月にアップした感想には「彼らには学校を卒業後疎遠になってほしい」なんて妄想を嬉々として書き綴っていましたが、今回の遠征では「彼らの間には固い絆が結ばれていて、この晩を経てその絆はさらに深くなったんだろうな(だからそう簡単には疎遠にならない気がする)」と認識を改めました。作品の背景的に考えると前回の感想に書いたような理由であっさりと疎遠になってしまいそうな気もするけれど、公演を観ているとお互いの悲しみに寄り添い合い同じ悲しみを共有した彼らがそう簡単に疎遠になるだろうか、とも考えてしまうんです。これは単に私の理解が深まったのか公演を重ねるごとに変化した演技によってそう感じたのかわかりませんが、1カ月間を置いてまた観ることができたからこそ感じることができたんだと思います。そう考えると基本約3ヶ月間の公演期間がある韓国の上演システムって良いですよね……(日本のストー◯ーオブマ◯ライ◯を横目で見ながら)

話を戻します。私は結局計9回この作品を観たんですが、この公演の最後のシーンだけ、どの回とも違っていてどひゃ〜〜ってなりました。この公演を観てしまったばっかりに予定外にチケットを増やしたと言っても過言ではありません(観てなくても増やした可能性は200%くらいあるけど)

問題のシーンというのが、現実に戻れない学生1を学生2が諭すシーン。私が今まで観てきた通りならば「学生2が学生1の夢を終わらせる」というシーンのはずでしたがこの日は全く違いました……。

うずくまる学生1にゆっくりと歩み寄り膝をつく学生2。丸められた肩に頰を寄せ、あやすように背中をトントンと叩いた後(ここまでは従来通り)学生2自身も現実を飲み込めていないように「あまり絶望しないで……」と途切れ途切れに言葉を紡いでいたんです。そして「이렇게 생각해 」と口にしながらながらついに涙を零し始める学生2……。もう一度いいます。学生2が泣き始めたんです。

いやいやいやいや、ここで学生2が泣くって一気に話が変わってくるやーーーん!!(本気で動揺)

戯曲の中の2人のように学生1が唇を寄せるのを学生2が押し留めることでこの夢の幕引きとなると認識していたのに、この日は本当に唇が触れる寸前まで学生2は学生1を拒絶しませんでした。2人で1つの愛の物語を駆け抜けたというのに、いつまでも夢から目覚められない学生1(ロミオ)と冷静に現実に戻っていく学生2(ジュリエット)という対比が非常に面白い(&エモい)と感じていたのに、まさかのここにきて学生2も夢から目覚めたくないパターンです!!!!嘘やろ!!!

本当は学生1のキスを受け入れたかったであろう学生2が自らを奮い立たせるように足を踏み鳴らすのを観ながら学生1と一緒に私も呆然としていました。

前回観た8/17公演の「夢を見た」は学生1が全部夢に『しちゃった』と感じたんですが、この日の公演は学生1と学生2が懸命に夢だったと『思い込もう』としているように感じました。最後の最後にこんな爆弾を落とされるとは。帰り道、気がついたらキャスケを開いてました(^ω^)

セジュンさんの学生1相手にヨンソクさんの学生2がこのシーンで泣いているかどうか確認するまでは死ねない。今日はイルジュさんの学生2とニコイチでジュリエットにしっかり向き合ってくれる学生1だったから良いものの、『愛とは>ジュリエット』で本当に夢を見ていたような終わり方をするセジュンさんの学生1相手に泣いていたらあまりにも地獄すぎやん!ヨンソクさんとセジュンさんの組み合わせは、ひたすら辛そうな学生2を尻目に全部夢にしちゃう学生1という、ただでさえ地獄感すごい組み合わせなのに。これ以上の地獄があるならこの目で確認するまで死ねないわ!!!

ということで、この日から必死にインターパークに張り付く日々を送りました。前回の遠征時も8/10の지1영2公演を観てから必死こいて8/17の기1영2公演のチケットをもぎ取ったんですよね。まさか丁度1ヶ月後に同じ事態に陥るとは(笑)ヨンソクさんとセジュンさんの組み合わせ人気すぎません???

まあとにかく、8月に続き9月もどうにかチケットをもぎ取れたのでセジュンさん相手のヨンソク学生2がどうだったかはそちらの感想で書きたいと思います。

余談ですが、公演7日前から完売チケットを狙うのは精神衛生上よろしくないのでおすすめできません。観劇は計画的に。

 

ミュージカル「君のための文字(너를 위한 글자)」感想

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【2019.07.13 ソワレ】

トゥリ: ユン・ソホ

カロリーナ: カン・ヘイン

ドミニコ: ペク・スンリョル
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【2019.08.11 ソワレ】

トゥリ: ユン・ソホ

カロリーナ: カン・ヘイン

ドミニコ: イ・ヨンギュ

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【2019.07.14 マチネ】

トゥリ: ユン・ソホ

カロリーナ: イ・ボムソリ

ドミニコ: エノク

 

ダブルケーさんのところの新作、「君のための文字」を観てきました!

前予習は無し……というか何も決めずに遠征前日に飛行機を取り、仁川からソウルへ向かうバスの中で「とりあえず1作くらい取っておくか」のノリでチケットを取ったので予習する暇もなかったのが実情です。

「最悪ソホさんのお顔を拝んどこ(キャッスルで撃沈したことを引きずる女)」という心持ちで向かったら、予想に反して直球勝負のラブストーリーで心温まる作品でした。

以下、いつもどおり韓国語がさっぱりな人間が書いた感想ということでネタバレ有りですが話半分に読んで頂ければ幸いです。半分くらい嘘だと思うので。

 

登場人物はトゥリ、カロリーナ、ドミニコの3人。公演が発表された時に見かけた「トゥリは発明家でタイプライターを作った人」という情報とインターパークの公演ページ(読めない)を流し見て私はピンときました。これはトゥリの発明の特許を言葉巧みに奪うドミニコとそのショックで病気になったトゥリを健気に支えるカロリーナの話に違いない(どこかで聞いた話)さてはこのドミニコという男、鬼畜眼鏡だな……?と。

 

ドミニコさん、ほんとごめん…

もう、申し訳なさ過ぎてドミニコさんの顔が見られない。正しい3人の関係性はこうです↓

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話はカロリーナがかつて住んでいた家(トゥリのお隣)に引っ越してくるところから始まります。久しぶりに故郷にやってきたカロリーナが出会ったのは、昔赤い屋根の上で語り合い今や有名作家となったドミニコと相変わらず人と関わらないで発明ばかりしているトゥリ。

最初、騒がしいカロリーナが帰ってきたことにイライラしていたトゥリですが、発明したランプをプレゼントした時の彼女の笑顔を見て次第に彼女に惹かれていくようになります。

トゥリとドミニコの幼稚な恋のさや当てが勃発するなか、ここで衝撃の事実が。なんとカロリーナが病気で失明するというのです。

「君の幸せを願う」スタンスのドミニコと「君の笑顔を守りたい」スタンスのトゥリは「君の助けを請うなんて僕の自尊心が傷つくけど…!」と言いながらも協力しカロリーナの為に奔走します。カロリーナの夢であり光は小説を書くこと。視力を失っても文字を書けるようにとトゥリが発明したのが………。

 

 

予想外すぎる直球ラブストーリー。多重人格云々だろうが内在的人格云々だろうがどんと来い!と挑んだら、まさかのわんぽねタイプの作品でした。まあ確かに劇場に入った瞬間から先月の5倍は舞台セットの色彩が豊かだなとは思っていましたけども。

プレビュー期間に観て「私はわんぽねの方が好きだな〜」なんて言っていたんですが、1ヶ月後に観たら楽しすぎて速攻でチケットを増やしました( ˆoˆ )

交差する恋心の切ない部分と楽しく笑える部分のバランスが良く、3人のキャラクターも魅力的!何より曲がむちゃくちゃ良い!

私はキャストの都合上トゥリが世界一可愛いと思っていますが(都合上とは)、キャラクターだけで言えばドミニコさんがとっても好きです。穏やかな紳士でカロリーナをずっと想っているけれど、彼女の幸せを思ってその気持ちを胸に秘めているドミニコさん。「君が望むなら僕は一歩後ろから見守るよ」と言っちゃうドミニコさん。切なすぎる………。

私の好きなドミニコさんの曲がこちら

自分の話を物語として語るロマンチックさが光ります。………が、容赦なく邪魔をしてくるトゥリ。好きな女の子と語り合っているのをこれだけ邪魔されてもブチ切れないドミニコさんが大人の男すぎて涙が出てきます。こんなん、ひとつだけ毒の入ったワイングラスを持ち出してきてトゥリをビビらせても許されるレベルだよ!!!!

この曲でドミニコさんは自分の話を物語になぞらえて話していますが、他にも同じようなシーンがあります。初めて観たときは大分戸惑ったんですが、この作品割と婉曲的な表現で物語が進むんですよね。ストーリーだけ見ればコッテコテの恋愛ものなのに一切相手に「好き」という言葉で好意を伝えない(多分)(私が聞き逃してなければ)ドミニコさんに至っては若い小説家の話を通してカロリーナへの好意を口にします。和歌かよ。

2人とも明確な言葉は口に出しませんが文系のドミニコは物語で、理系のトゥリは発明品でカロリーナへ好意を示すのが良い対比になっていてこれまたきゅんきゅんするのです。

 

 

【8月11日 ソワレ 感想】

ヨンギュさんがどうしても観たくてこの日を選びました。ヨンギュドミニコ超〜〜〜〜可愛いし、ソホトゥリとの息もぴったりで楽しかったです。この作品、大きな事件が起こるわけでもなく穏やかに流れていく時間の中で、3人の関係が少しずつ変わっていく姿が魅力なので俳優さん同士ケミも重要なんだなと。そう考えると前回プレビュー公演を観て「わんぽねの方が好き」と言い切ってしまったのは早計だったと反省しています。

実は、前回トゥリとドミニコがカロリーナを巡り争っていることにいまいちピンとこなかったんです。ドミニコさんがどう見ても近所の優しいお兄さんポジにしか見えなくて……漂う明らかな脈なし感………。その点爽やかでキュートなヨンギュドミニコは良い意味でソホトゥリと対等で、やたらドミニコさんに感情移入して観てしまいましたwそして前回も観たヘインカロリーナ!もう本当に可愛い♡2人の男に言い寄られながらもにこにこしてるカロリーナちゃん、下手すると「嫌な女」になりかねない役所ですが、ヘインカロリーナは圧倒的可愛さで「こんだけ可愛いんじゃ仕方ないよね」と納得させてくれます。なんていうか、女の子の夢が詰まってるんですよね。可愛くて可憐で優しいのに、悪意なく男の子を振り回しちゃってそれが許されちゃう。私はヘインカロリーナのことを陰で(?)「南ちゃん」と呼んでいます。

トゥリとドミニコの恋のさや当て模様ですが、この日のソホトゥリ全体的に子供っぽかった気がします。頰を膨らませたり(可愛い)、ドミニコに言い負かされて涙を拭いながら走り去ったり……(超可愛い)あと恋のさや当て決戦のサビである" 네가 행복할 수 있다면 "ですが、ヨンギュさんとソホさんの組み合わせ、2匹の子犬がきゃんきゃんしているみたいで可愛すぎました。椅子争奪戦でトゥリに突き飛ばされたドミニコさんがガチで吹っ飛んだり、その後取り返した椅子を断固として譲らないドミニコVS空気椅子で応戦するトゥリだったり。階段を登るカロリーナを追いかけたヨンギュドミニコが、振り返ってトゥリにべっと舌を出しているのが可愛すぎて昇天しかけたんですが、そのあと同じ場所で誰もいない空間に向かってべっと悔し紛れに舌を出すソホトゥリが可愛すぎて無事昇天しました。

 

【2019.08.14 マチネ 感想】

11日が楽しかったので急遽追加した日です。やたらチケットが売れてたし劇場内も混んでるなと思ったらイベントデーだったみたいでポラが貰えました。最初、ポラより動画撮れるやつのが良かったな〜とか思っていたんですが貰ったポラを見るとトゥリだったので秒速で手のひらを返しました。可愛いは正義。

正直、エノクさんのドミニコってどうなんだろう……ソホさんとも結構歳が離れてるし、また近所のお兄さんポジにしか見えなかったらどうしよう……と不安があったんですが完全に杞憂でした!エノクドミニコ、ダンディーで紳士なのにとっても可愛いんです!!ダンディーと可愛いを両立させるなんて可能だったんですね。勉強になりました。対カロリーナのときは絵に描いたような紳士っぷりに優しい瞳でカロリーナを見つめるエノクドミニコ。ドミニコの曲の

転ばないように 

手を握ってあげたかったけど 

寂しくないように

一緒に歩いて行きたかったけど 

という歌詞に圧倒的説得力を持たせてきます。そんな紳士でダンディーなエノクドミニコですがトゥリが現れるや否や一転します。さっきまでの紳士さはどこに捨ててきたんだ!と問い詰めたいほどの子供っぽさでトゥリと張り合ってきます。11日の椅子取り合戦で断固として椅子を譲らなかったヨンギュドミニコが印象に残っていたんですが、エノクドミニコはトゥリの場所を半分空けて座ってあげてました。しかも隣に座ったトゥリの肩に腕を回すドミニコさん。優しい!流石紳士!と思って見ていたらカロリーナが後ろを向いた瞬間その腕でヘッドロックをキメていました。ウケるwwwカテコ後も、今まで観た2回はレディーファーストでカロリーナを通した後、トゥリとドミニコがお互い先を譲りあって最終的に2人仲良くはけていっていたんですが、この回は先に出たドミニコが容赦なく扉を閉めてトゥリを閉じ込めていて笑いました。まさかの事態に笑いながら机の上の金槌を掴んでドミニコを追いかけていったトゥリにも笑った。トゥリ相手には中学生レベルの恋のさや当てを展開しちゃうエノクドミニコ、「優しい大人の男性」というドミニコのキャラを保ちつつ恋愛部分ではトゥリと対等に見えちゃうのが本当に凄いなと思います。(対等に見えないと一気に3人の関係のバランスが崩れちゃってお話の魅力が半減しちゃうと思うんですよね……)ところでこの2人対等っちゃ対等だったんですが、どこのシーンだったかドミニコに「ヴーーッ」と威嚇(?)していたトゥリ、エノクドミニコ(デカい)相手だと大型犬に強がって吠えてるポメラニアンのような風情が漂っていて最高に可愛かったです(トゥリが可愛かった話がしたいだけ)

この回で初めてヘインカロリーナ以外を観たんですが、ボムソリカロリーナもとっても良かったです。カロリーナってみんな南ちゃんタイプかと思いきや、演じる俳優さんによって違うんですね。この回は穏やかなお姉さん風のカロリーナに見えました。

ボムソリカロリーナはなんといっても目が見えなくなってからが凄く良くて………。彼女が1人暗闇にいることが立ち姿からも伝わってくるんです。あんなに明るくてにこにこしていた子が………とトゥリやドミニコじゃなくても胸が苦しくなりました。そしてトゥリがタイプライターを持ってくるシーンがもう本当に泣ける!!「ジャーン」とタイプライターを見せるも何も見えないカロリーナは両手を膝に置いたまま困ったように固まっていて……。この時の間がもう泣くしかない。トゥリの「なんで何も言わないんだろう」→「そうか目が見えないのか」と気づいた時の悲しみと、カロリーナの「トゥリが自分の為に何かしてくれたことはわかるのにそれが何なのか全くわからない」→「何か言わないといけないのに…」と思うもどうすることもできない悲しみがまとめて観客に襲ってきます。もう泣くしかない(2回目)

その後トゥリに導かれて、トゥリが自分の為に持って来てくれたものがどんなものかわかったカロリーナが泣きながら微笑むのが………(泣)ここが自宅だったらエンダァァァァァァ!!と叫んでいました。

 

 

あと何回は観たかったんですが、気がつけばもうマッコン………。実はサンユンドミニコの日のチケットも取っていたんですが、下関発釜山行きの船に乗る誘惑に負けてキャンセルしちゃったんですよね(これは向かいの劇場に行ったという意味の比喩ではない)今思えばサンユンドミニコも観ておきたかったと後悔しきりです。

この作品、個人的には後からじわじわくるタイプだったな〜と思います。穏やかだけど胸が暖かくなるストーリー、素敵な俳優陣、耳に残る楽曲、私の周りではあまり話を聞かないんですが大好きな作品となりました。もう終わってしまうのは悲しいですが、どこかのワンスアポンアタイムイン海雲台とかいう作品と違いOSTが発売されているので元気を出していきたいと思います。

 

 

演劇「R&J(알앤제이)」 感想

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【2019.07.13 マチネ】

学生1: キ・セジュン

学生2: カン・チャン

学生3: カン・ギドゥン

学生4: オ・ジョンテク

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【2019.08.10 マチネ】

学生1: チ・イルジュ

学生2: カン・ヨンソク

学生3: ソン・ユドン

学生4: ソン・グァンイル

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【2019.08.11 マチネ】

学生1: キ・セジュン

学生2: ホン・スンアン

学生3: カン・ギドゥン

学生4: ソン・グァンイル

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【2019.08.17 ソワレ】

学生1: キ・セジュン

学生2: カン・ヨンソク

学生3: ソン・ユドン

学生4: ソン・グァンイル

 

 

久しぶりに韓国で演劇を観ました。思い返せばスルースやデストラップぶりのような気がします。

ロッキーホラーショーの開演時間(14:00)を間違える、という阿保なことをやらかしてどうにか開演に間に合いそうな劇場に飛び込んだ結果観ることになったのがこのR&Jでした。

予習どころか当日のキャストさえ知らないままチケットを購入。「おっ、割と良い席空いてるやん」と何も考えずに買ったのがステージシートで、そのことに気づいてから開演まで「ステージシートってなんなん!!!えっ………座布団持ってけ……?えっ、どういう席なん。生きて帰れる???」と打ち震えていました。打ち震えていたといえば、インターミッション有りの2幕もの、と壁に貼ってあるのを見た時も震えました。演劇で2幕ものとか絶対集中力続かない自信がある。

キャストも正直馴染みのない方ばっかやし………セジュンさんとか猫ちゃんしか知らんわ!!!(誇大表現)と正直不安要素しか見つからないなか「まあ、要はロミジュリやろ!!イケるイケる!!」と自らを鼓舞し席に着いたのを覚えてます。ロミジュリ自体はバレエ演目の中でも大好きなやつだし、宝塚でも星組公演は私のバイブルだし、ついていけないことはないかなと。

結果的に劇場を出た瞬間次の観劇予定を決める為にキャストスケジュールを開きました。ものすごく好みの作品でした。

 

以下ざっくりとした感想です。

相変わらず私の韓国語力がさっぱりなのと、今回は上記のような経緯で観劇に至ったこともありツイッターのタイムライン上で目にするもの以外、人様が書かれた感想やあらすじ等を一切拝見していないので頓珍漢なことを書いている可能性があります。その点を踏まえて読んで頂けると幸いです。

くだらない話ですが、私がどうしても渡韓できない期間にあった昨年(初演)の公演の話題をできれば目に入れたくないという気持ちからなかなか人様の感想を拝見できなくて…(笑)シェイクスピア風に言うなら緑の目をした怪物に心を餌食にされちゃいそう。まあそう言いつつ、しばらくR&Jが観られない日が続くと、多分猛然と人様の感想を検索することになると思います←

 

【あらすじ】

厳格な規律が幾つもあるカトリックの男子校に在学中の四人の少年たちは、夜遅く寮をこっそり抜け出して秘密の場所へと向かう。彼らは赤い布で包まれた禁断の本、「ロミオとジュリエット」を広げて朗読を始め、その話に徐々に惹かれていく。学校の規律を破りロールプレイを続ける少年たちは、次第に戯曲の人物の生活を通して自分たちの生活を投影し、自らを取り巻くタブーと抑圧の壁に遭遇します。冷静な現実の始まりを知らせる授業の鐘が鳴るまで、彼らはまるで真夏の夜の夢を見るように自ら創造した「ロミオとジュリエット」の結末に向かって走って行く。(synopsisより)

 

【感想】

ぱっとインターパークの公演サイトやあらすじを見ただけではどういう内容なのかさっぱりわからないけど、「ロミオとジュリエット」という謂わば使い古された題材の割に評判は良い、というのが観劇前の認識でした。まあ男性4人だけの舞台で「その中でロミジュリを演じる(つまりジュリエットも男性が演じる)」というのは、好きな人は好きそうだしそういう部分で人気があるのかな、と。

全然違いました。

もう全力で謝罪したい。なんなら、宣材写真(赤い布と一緒に撮ってるやつ)を「古の同人便箋みたいな構図」って言っていたこともついでに謝罪させてほしい。どこに向けて謝罪したら良いのかわからないのでとりあえずこの場で謝罪させていただきます。申し訳ありませんでした。

話を戻します。観劇してわかったのはこの作品の主題が、「少年たちがロミオとジュリエットの戯曲を演じること」ではなく「少年たちがロミオとジュリエットの戯曲を通して何を知っていくのか、何に目覚めていくのか」だということです。厳格なカトリックの学校で生活する彼らが、戯曲を通して今まで知らなかった感情(例えば障害を乗り越えることだったり、愛だったり、身を引き裂かれるような悲しみだったり)を知っていく過程がとても「おもしろい」と感じさせられるのだろうと思いました。

私がこの作品に惹かれた1番大きな部分は作品全体を覆う「空気感」です。息がつまるような閉塞的な世界の中で、それに抗おうとする少年たち。その刹那の時間の美しさと儚さが台本を含め舞台セットや音楽に至るまで完璧に表現されていて、一度見たらあとを引き、また観たいと思わせられるのです。

これはあくまで私の妄想であり戯言ですが、彼らには学校を卒業後何事もなかったかのように過ごし、次第に疎遠になっていてほしいです(※あくまで私の妄想です。しつこいようですが念のため)そのまま何十年も経った頃、ふと真夜中に見上げた空に光る稲妻を見て『真夏の夜の夢』のようなあの夜のことを思い出すけどその時の彼らにとってそれはもう過ぎ去った過去の一つ………みたいな!

学生4人の抱える感情(シノプシスから引用すると"自らを取り巻くタブーと抑圧の壁")というのは謂わば思春期特有のものじゃないですか。あの夜、答えを探し激しい感情に身を焦がしたとしても大人になってみればなんてことないものかもしれない。そもそも、思春期の彼らにはこれからも次々に衝動や障害にぶつかるだろうしめまぐるしい日常にあっという間にこの夜のことを忘れてしまうような気がします。これは朝と同時に学生1以外があっさりと現実に戻ろうとしたことからも考えられるんですが……。そう考えると目の前で演じられる学生たちの『真夏の夜の夢』が如何に脆いものなのかかが窺われて、ますます魅了されちゃうんですよね。

 

【各学生について】

学生1

ロミオとジュリエットの戯曲を演じるきっかけともなる学生1(ですよね?)セジュンさんとイルジュさんの2人を観ましたが未だに彼のことがよくわからないんですよね……(よって、ろくな感想が書けない)

愛について単純な知識と想像以上のことを知らなかった彼が、ロミオを通して愛とは何かを知っていく、その過程が学生1役の見どころであり魅力なんだろうなとはわかります。そして役割的には他の3人を引っ張っていくタイプなのかな、とも思うんですがそういうカリスマ感?というかリーダー感?が押し出されているわけでもないし……と首を傾げています。あっ、でもイルジュさんの学生1はすこしリーダーシップを感じたような気がします。ヨンソクさんの学生2と並ぶとちびまる子ちゃんの大野くんと杉山くん感がありました。なんていうか、この2人の組み合わせはニコイチ感があったとも言えます。常に学生1と学生2が(これはロミオとジュリエットしかりロミオとベンヴォーリオしかり)同じ温度で向き合っていたように感じました。セジュンさんとヨンソクさんの組み合わせだとひたすらに苦しそうな学生2に対し、学生1が向き合っていたのは学生2(ジュリエット)ではなく「愛」だったように感じたんですよね。朝になり現実に戻る時も、セジュンさんの学生1は本当に夢から目覚めたようなふっとした表情をしていてニコイチ感とは真逆の隔たりを感じました。

 

学生2

私が1番注目して観ている役です。彼は4人の中だと1番穏やかで柔和な性格なんだと思います。だから気がついたらジュリエット役にされてるし、ノリ気じゃなくても断りはしない。そして1番冷静に状況を見られる子でもあると思うんです。ロミオとジュリエットの物語において、ジュリエットは非常に性急で短絡的で行動力があるキャラクターとして書かれています(出会ってすぐに結婚、仮死状態になる薬を飲むなど)そんなジュリエットを寮を抜け出すことすら躊躇っていた学生2が演じる、というのは面白いなと思います。

これは私の解釈ではありますが、この作品が「少年たちが今まで知らなかったことを知っていく物語」と考えると本人の性格とは反対のジュリエットを演じた学生2が、4人の中で1番変化があったんじゃないのかと考えてしまうのです。ヨンソクさんの学生2の感情の振れ幅がこの作品を観た中で1番心に残っているんですが(これは単に私がヨンソクさんの学生2のみ2回観ていて理解しやすかったというのもあります)、ロミオと出会い恋に落ちてからのヨンソクジュリエットは「辛そう」という印象が強かったです。自分にはない、知らなかった、ジュリエットの情熱的な恋心とそれが引き裂かれる運命だという事実を知って、初めて知る感情が彼にとってとても辛いことだったんだろうと思いました。このあたりスンアンさんの学生2は「戸惑い」の感情の方が大きかったように感じます。カンチャンさんの学生2に関しては初日から日も経っていなかった7月上旬に観たのみなのであまり私が感想を言っていいものでもないよなと思っちゃうんですが、観た当時感じたのは「全てを受け入れている」学生2という印象です。聖母のようなジュリエットだなと感じたことを覚えています。

 

学生3

学生1同様、学生3のこともいまいち理解しきれていません。というか、正直学生2を観るのに忙しくて他の学生を自分なりに解釈して観るに至れませんでした。圧倒的に観劇回数が足りない……(泣)

ただ、ギドゥンさんの学生3を思い返してみると少しは自分なりに理解できそうな気がしたので書き出してみます。ギドゥンさんの学生3で印象に残っているのが感情の振り幅が大きいというか、よく泣いているなという部分です。よく泣いている、というとヨンソクさんのジュリエットもそうですが、ジュリエットの身を引き裂かれるような辛さの涙ではなくギドゥンさんの学生3は戯曲を演じる友人達を見て舞台の端で泣いているんです。1番忘れられないのはジュリエットに薬を渡す時に学生3の演じる神父様がずっと泣いていたことです。ストーリー上神父様がこのシーンでこんなにも泣くことはない、つまりこの涙は純粋に学生3の悲しみややるせなさだと考えられます。そう考えると学生3は他の学生に比べて感情移入しやすいタイプではないかと思うわけです。それであれば結婚式やジュリエットの折檻シーンでの行為も納得ができるんですよね。「ロミオとジュリエットを引き裂く存在」に感情移入というか、のめり込んでしまったんだろうと思います。何よりギドゥンさんの学生3は自分のやってしまった行為に気づいた後、自分でも信じられないように震える手を見つめる姿が印象的なのであながち間違ってはいないのかな、と。

学生3の行き過ぎた行為に関してもう一つ考えたのが、現実世界の抑圧に対する解放です。学生3は最初に体罰を受けているシーンがあります。それと対比するようにロミオとジュリエットの戯曲の中(夢の中)では他人に手をあげるという行動が出たのかなと。本人も自分の行動に動揺しているので意識的にやった訳ではないけれど、現実世界の抑圧からの解放を主張する手段として体罰を受けていた学生3は「他人に手をあげる」という形になったのかなと思うわけです。ただ、この考え方だと「奪った本を破り捨てる」という暴力ではないけれど、いささか"やり過ぎ"な行為に対して説明がつかないので前者の考えの方がしっくりくるような気がします。

ただ単純に解釈がしやすい、という点でギドゥンさんの学生3にフォーカスして語ってしまいましたがユドンさんの学生3もとても良かったです。どちらも違ってどちらも魅力的な学生3なので片方の学生3を観るともう片方の学生3が観たくなるという由々しき事態が発生します。「いつ行ってもどちらかが観られるからキャストスケジュール気にしなくていいやラッキー」って感じじゃないんです!どっちも観たい!等しく観たい!片方を観た時にはもう片方のことを考えてしまう。私はこれをR&Jの永久機関と呼んでいます。

 

学生4

学生4については学生1、3以上にわかりません。4回しか観られてないのに全員を語れるくらいじっくり観るなんて無理です。観劇回数が圧倒的に(以下略)あと、学生2のスケジュールに合わせて観劇日を決めていたので初回の7月以外全てグァンイルさんで観ておりWキャストの演技を観比べて、ってこともできない。

乳母役とか凄い良かった気がするのにどうしてあんまり覚えてないんだろう…?と思ったら乳母って大概ジュリエットと一緒ですもんね。そりゃジュリエットを観るのに忙しいから記憶が曖昧なわけです。

かろうじて記憶に残っているのがギドゥンさんとグァンイルさんの組み合わせだった日です。前回アップした分でも書いたんですが、ギドゥンさんとグァンイルさん、立ち姿が割と似てるじゃないですか。キャピュレット夫人と乳母でジュリエットをうりうりするシーンのシンクロ具合が神がかっています。どう見ても「不思議の国のアリス」のトゥイードル・ディーとトゥイードル・ダム。もはやジュリエットがアリスに見えてくるレベルです。

上記みたいなことは覚えているんですが、結局学生4がどういうタイプの少年なのかについて考えられるまでには至りませんでした。(地元から仁川への飛行機が飛んでいれば)あと何回かは観たいと思っているのでその時考えられればいいなと思っています。

 

【座席別感想】

ステージシート後方列下手寄り

この席は舞台上のキャストの表情が肉眼で見える距離ながら俯瞰して観られるのが魅力だと思います。そして学生2が見やすい(ような気がする)最初のキスシーンでも、初夜のシーンでもジュリエットの表情がよく見えます。あと座席中央部分での演技も観やすいのがポイント高いです。

下手中央列S席

私の座った席はギリギリ表情まで見えるかな、といった感じでした。これ以上後ろだと私の視力じゃ駄目そうです。この位置は学生3が見やすい印象でした。バルコニーシーンが見にくいかも、と心配していましたが思ったよりは見にくくなかったです。

センター中央列R席

見やすいし、当然ですがステージシートからは見えなかった部分が見えて新鮮でした。

 

4回中3回は当日券で買っています。個人的にはステージシートの後方列の席が1番好きでした。3列目くらいまでの前方席、座席中央舞台より後方の席、あと上手サイドの席には座ったことがないので気になるんですがどこが1番観やすいんですかね。

 

【2019.08.17 ソワレ 感想】

この回は10日の公演の幕間に秒速でキャストスケジュールを開き観劇を決めた日でした。ヨンソクさんの学生2が観られればいつでもよかったんですが、予定が空いているのがここしかなく5日間くらいインターパークに張り付いていましたwかろうじて記憶が残っているのと、この回でやっと少しは理解ができるようになったので印象に残っている部分の覚書です(時系列はぐちゃぐちゃ)

 

  • ジュリエットのドレスがめちゃくちゃでしたwユドンさんとヨンソクさんの組み合わせだとドレスを着てボックスに立つ時、両足でぴょんと飛び乗るのが可愛い(他の組み合わせがどうなのかは観てないので知らん)
  • ヨンソクさんの学生2はロミオと恋に落ちてから両手で顔を覆うことが多い印象なんですが、ジュリエットの感情を咀嚼して自分の中の感情と整理つけているのかなって
  • ロミオがジュリエットに導かれてボックスを踏み越える演出に初めて気づきました。その時ロミオ(もしくは学生1)は一線を越えたんだなとわかるんですね……
  • あまりにも今更なんですが、だんだんと制服を脱ぎ捨てていくのって抑圧からの解放を表現しているのかって今気がつきました
  • 本を奪われて愛を誓う言葉を失ったロミオが詩を諳んじ始めた時、初めて彼は「愛とは」の答えを知ったんだなとスッと理解できました
  • ロミオが神父さまに結婚をしたいと言いに行っているシーンで舞台の隅に居た学生2が幸せそうな、照れたような表情で腕に顔を埋めていたのが世界一可愛かった。もう一回言っておきます。世界一可愛かった。結婚の許しを得た時にガッツポーズしていたのも可愛い
  • 寝ている乳母から真ん中の椅子を抜いた後、さらに両足で左右の椅子までスライドされてたけどこれマッコンにはどうなっちゃうんですか?
  • ベンヴォーリオがものすごくかっこいいことに気がつきました。ヨンソクさんの学生2自体が"みんなと仲の良い柔和な優等生"というイメージなので仲裁したりというのが似合うのかもしれない
  • 戯曲を続けるように学生3と学生4に懇願するジュリエットが観ていられないほど悲痛でした。嗚咽しながら母と乳母を呼び続けるジュリエット……。どんなに悲しい場面でもどこか美しさがあるこの演劇において、1番絶望的なのがこのシーンだと思う
  • ヨンソクジュリエットの毒を煽り倒れこむまでの一連のシーンは芸術だと思う。なんていうか、「一瞬が永遠のように思える」という文章を形にしたらこんな風になるんだろうなって感じ
  • 学生1が始めた夢の幕引きが学生2の手で成されるってむっちゃエモい
  • この回、朝になって現実に戻る時学生1が制服を纏い始めるのめちゃくちゃ遅くなかったですか……?なかなか夢から覚めきらないというか……セジュンさんの学生1も本当に夢から覚めたような顔をしていたので「어젯밤에 꿈을 꿨어」の台詞の時、ああ彼は本当にこの夜のことを夢にしてしまったんだ、と感じました。戯曲を演じていた時のヨンソクさんの学生2はあまりにも激しくて辛そうだったのに、それをあっさりと夢にしてしまった学生1との隔たりがすごい
  • 本編には関係ないけど学生1のライトが点かなくなった時、ごく自然に学生4のグァンイルさんが自分のと交換していたのチームワークがすごいなって思いました。些細なことだけど目の前で見ると感動しちゃう

 

 

軽い気持ち観に行ったはずが、気がついたら学生1のジョンボクさん以外全キャストコンプしておりました。自分でもどうしてこうなったのか………という感じです。しかもまだまだ観たりない!!あと一ヶ月公演期間があるのでどうにかして学生2キャスト3人をもう一回ずつは観られたらいいなと思います。私が行ける日程で飛行機が飛んでいますように………。

 

ところで超〜〜〜〜〜〜余談なんですが、この作品を観て赤染晶子の「乙女の密告」を思い出した方いませんか………?私だけ………?