絵に描いた餅

書かなきゃ忘れるオタクの備忘録

ミュージカル「女神様が見ている(여신님이보고계셔)」

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 【2017.01.04 ソワレ】

ハン・ヨンボム:キム・シニ
リュ・スンホ:ジョン・フィ
イ・チャンソプ:ホン・ウジン
シン・ソック:カン・ギドゥン
チョ・ドンヒョン:チョ・ブンレ
ビョン・ジュファ:カン・ソンウク
女神:ユ・リア

 

 

前回の観劇から約2週間、興奮冷めやらぬまま再び観劇して参りました。今回は2回目、そして前回観劇時に台本を購入できたのもあって比較的理解できたのではないかなと思います。

そして、前回と大きく違うのが席が!!圧倒的に良い!!!

前回座ったのはセンターブロック通路側、遠すぎもせず舞台全体が見渡せて、なおかつお魚も取りに来てくれる席だったので十分満足だったのですが、今回運良く更に前方の席を掴みとれたので圧倒的近さで彼らの無人島生活を拝むことができました。あまりの迫力にそこはもう無人島でした。(いいえ、海です)

キャストはヨンボム、スンホ、ソック、チャンソプが前回観た時と別の方です。

以下、毎度のごとくネタバレ有りの韓国語がよくわかっていない人間の感想です。感想というか覚書き。そして無駄に長い。

 

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ミュージカル「女神様が見ている(여신님이 보고 계셔)」感想

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 【2017.12.16 ソワレ】

ハン・ヨンボム:キム・ジェボム、
リュ・スンホ:イム・ジンソプ
イ・チャンソプ:ユン・ソグォン
シン・ソック:キム・デヒョン
チョ・ドンヒョン:チョ・ブンレ
ビョン・ジュファ:カン・ソンウク
女神:ユ・リア

 

満を持して行って参りました!大学路の名作と名高い「女神様が見ている」。

下書き欄に書きかけのシラノの感想や死の賛美の感想が見えた気もしますが、鉄は熱いうちに打てということでひとまずこちらの感想です。

 

一応予習にと過去の公演の動画を漁ってみたり、OSTを流しながら「な ぽよよ〜〜」と宙に向かって手を振ってみたりとしていたのですが、実際に観劇してみるとやっぱり感動と迫力の度合いが違いますね。本当に名作と呼ばれるだけあって素晴らしい作品だなぁと感じました。

私ごときが何言ってんだという話ですが、あまりにも予習材料が豊富であるが故に、段々知ったような気になってくるのと、あまりにも絶賛の声しか見つけられない故に、期待値だけが上がっていき「実際どうなんだよw」みたいな捻くれた気持ちなってくるんです笑

そんな捻くれた気持ちを抱きつつ観劇すると、想像していたものの更に上をいく感動を味わうことになり「本当に名作じゃん‥‥‥」と放心状態になりますwww

 

キャストは上記の通りです。ジェボムさんが西便制以来、ユリアさんがダディ以来である以外、初めて観る方ばかりだったのですが皆さんとても素敵でした。

初見かつ韓国語がさっぱりな人間の感想ですので間違い等あるかもしれませんが広い心で読んでいただければと思います。

以下ネタバレと妄想満載になりますのでご注意ください。

 

 

 

ざっくりと言ってしまえば、『敵同士であった南の兵士と北の兵士が無人島に漂流し共に生活する』という内容のこの作品、南の大尉であるヨンボムと北の兵士で心に傷を負ったスンホの関係性はこの物語を象徴するように感じました。

 

この作品を観て1番印象に残ったのが、スンホがヨンボムに向けた最初と最後の言葉です。

スンホとヨンボムの間に少しずつ生まれていく信頼と愛情はこの作品の大きな見所の一つだと思うのですが、それがスンホがヨンボムに向けた言葉に集約されていると思います!

(おそらく)初対面であり、敵兵の大尉であるヨンボムに

 

「おじさん‥‥‥頭おかしくなった?」

 

とドン引き気味で言っちゃうスンホ。しかし無人島生活での紆余曲折を経た後の別れのシーンでは

 

「‥‥‥ありがとう、ひょん。」

 

と切ない表情でヨンボムに告げます。

はい、この差最高じゃないですか?

この最初と最後の言葉だけで、無人島での生活でヨンボムがいかにスンホを可愛がっていたのか、そして2人の間にどんな関係が築かれたのかがわかります。

正直、たった120分の間の「아저씨 미쳤어?」から「고마워요‥‥형.」まででこんなにも心を震わせられることになるとは思いもしませんでした。さすが大学路の名作。

 

ヨンボムとスンホ(+よしんにむ)で歌う、物語のキーともなるナンバー〈여신님이 보고 계셔〉。観劇前から動画を何回も観るほどお気に入りだったのですが、生で、そして前後の流れがあって観るとスンホとヨンボムの心が少しずつ近づいていくのが手に取るようにわかり、大好きなナンバーになりました!

怯えるスンホの手を取り優しく歌って聴かせるヨンボムと段々と目を輝かせていくスンホ。例え、スンホを丸め込みたいという考えがあったとしてもヨンボムのスンホに対する優しい仕草や眼差しは嘘ではないのだろうなという事がビシバシ伝わってきます。

さっきまで娘(見えない)に向かって話しかけ続ける明らかにヤバい人だったのに!!チャンソプの前でも「口先だけでなんとか生きてきました〜〜」感漂うヘラヘラッぷりだったのに!!このナンバーでの愛情溢れる優しさに一気にヨンボムというキャラが好きになりました。

 

そして、スンホとヨンボムの関係性という点において、1番テンションがあがったのはやっぱり爆撃を受けた時のシーンです。

皆が安全な場所に避難する中、トラウマ故に動けなくなったスンホを身を呈して助けに行ったのは敵兵の大尉であるヨンボム。お互いに銃を向け合っていた序盤の姿を知っているだけに、このヨンボムの行動は衝撃的でした。

動けないスンホの姿を見て、咄嗟にという感じで飛び出し助けに行くヨンボムから、スンホの事を本当に可愛がっているんだなと良くわかります。2人の間にはまぎれもない愛情が国を超えて生まれていました。

観ている側としては「北の兵士」「南の兵士」と無意識の内に認識して観ていましたが、もう彼等にとっては「どちらの国の兵士であるのか」という事よりも「同じ無人島で生活する仲間」という事実の方が大きくなっているのだなぁと。

こんな、彼らが国を越えて絆を深めていく姿が丁寧に描かれる中でも、随所随所に現実では戦争の最中で、彼らは敵同士であることを突きつける演出を挟んでくるのがこの作品の憎いところだとも思いました。ソックとヨンボムが無線機を隠し持っているところだったり、韓国軍の襲来に助けを求めようとする2人を北の兵士達が押さえつけたりするところだったり‥‥。

もちろん、彼らが本心からこんなことを望んでやっている訳などないことはわかっているので余計に観ている側は切なさとやるせなさで胸が苦しくなるんですよね‥‥‥‥。

 

地味にキュンキュンしたのが、ヨンボムが呼んだ韓国軍を皆で撃退するシーン。

この時スンホを勇気づけるように、安心させるように彼の手を握りしめるヨンボムの姿も好きでしたが、注目すべきは爆撃で皆が地面に伏せる時です。皆が地面に伏せる中ヨンボムは当然のようにスンホの上に覆い被さるんです‥‥‥‥。

いや、無理すぎない?(言葉を失ったオタクの常套句)

あの、「自分の身が第一で〜〜す(ヘラッ)」みたいな感じだったヨンボムが、大切な存在としてスンホを守ることを当然としている姿‥‥‥‥‥‥‥。

このシーン何度思い出しても胸がいっぱいで言葉が出ません。

 

そして物語のクライマックス、別れのシーンですが‥‥‥はい、もう切なくて、胸が苦しくて、言葉が(以下略)

ありがたいことに台本が手元にあるのでヨンボムとスンホの最後のやりとりを抜粋してみます。

 

      영범 , 가만히 서 있는 순호 옆 으로 다가 가

영범 「순호도 이제 집으로 가야지 ? 」
순호 「‥‥」
영범 「( 순호 옷 매무새 챙겨주며 ) 조심해서 가 .」

순호 「… 고마워요 형 . 」

 

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥最高です。

 

「スンホももう家に帰らないと」

ヨンボムのこの言葉は、「女神様が側に居なくても、自分が側に居なくても、もうおまえは大丈夫だよ」という意味が込められているのかなとも思いました。

無人島で過ごした時間、どこまでもヨンボムはスンホの良い兄であり父であり庇護者であったんだろうな〜〜と考え始めるとたまらない気持ちになります‥‥‥。

優しく告げるヨンボムに、黙りこんじゃうスンホがまた可愛くて切ない( ;∀;)

 

そしてヨンボムとの、おそらく永遠であろう別れを前にして最後にスンホがヨンボムに向けた言葉が「‥‥‥‥こまうぉよ ひょん」です‥。

 

韓国語が1歳児レベルにさえ達していない私でも意味がわかるこの台詞ですが、この一言に込められた想いはどんなものだったのかと考えると‥‥‥。切なすぎてユニプレックスの劇場を飛び出して地下から地上まで階段を一気に駆け上がりたい衝撃に駆られます。

「こまうぉよ」の言葉には、きっと女神様作戦を実行してくれたこと、そして自分に愛情を持って接してくれたこと、色々な想いがこの一言に込められているんだろうなと想像しては胸が苦しくなりますし、「ひょん」にはスンホがヨンボムと一緒に過ごした時間とそれがどんなものであったのかが表されているじゃないですか‥‥‥。

もう、一言一言が切ない‥‥‥‥‥‥。

 

決してバッドエンドではないのに、胸を締め付けるような切なさを残す結末は、だからこそ観る側の心に深く残るものになるのだなと思いました。現に私は「帰る場所」に帰っていった彼らを想像し、日々胸を苦しくしています。

 

例えばヨンボム兄貴なんて、絶対空気の澄んだ星の綺麗な夜、いつか見上げた空と重ねるように1人星空を見上げるようになりますし、その表情は普段の姿からは想像もつかないような物憂げな表情なんですよね。だけど「 あっぱ〜〜」という声に振り向いた時にはさっきまでの表情など嘘のような、いつものデレデレな表情を浮かべ、駆け寄る娘に手を広げるんですよ!!!(※全部妄想です)

とっても切なくないですか??(※だから妄想です)

 

まあそんな妄想はさておいて、戦争によって引き裂かれた彼らの絆は、戦争によって出会い、生まれたものなんだと突きつけられる結末でした。

 

 

 

ひたすらスンホとヨンボムについて語るだけのまとまりのない感想になってしまいましたが、長くなったので一旦この辺で終わりたいと思います。

本当は『ソックとジュファ、あなた達はいつの間にそんなに仲良くなったの問題』やら『ヨンボムってこんなに変人キャラなんですか。それともジェボムヨンボムがこんなに変人なだけなんですか問題』などいろいろ書きたいことがあったのですが、それは余力があれば次回にということに。

もう一度観る予定なので、その時にキャスト別キャラ感想も書ければとは思っています╭( ・ㅂ・)و ̑̑ !

 

最後に、切なさを吹き飛ばす可愛さ100%で構成されたカーテンコールの写真を。

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上げまくった期待値の更に上をいくヨボショ。まだ未見の方でこのブログを読みながら「実際どうなんだよw」と思っている方がいらっしゃいましたら是非劇場で確かめて頂きたいです。

 

ミュージカル 「INTERVIEW(인터뷰)」 感想②

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【2017.07.28 ソワレ】

ユジン・キム :ミン・ヨンギ

シンクレア・ゴードン:キム・ジェボム

ジョアン・シニアー:キム・ジュヨン

 

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【2017.08.05 マチネ】

ユジン・キム :カン・ピルソク

シンクレア・ゴードン:キム・ジェボム

ジョアン・シニアー:ミン・ギョンア

 

 

前回に引き続きインタビューの感想です。

※こちら、キャストスケジュールがかろうじて読める程度の語学力レベルの人間が書いた感想です。
記憶力、語彙力にもいまいち自信がないので間違い等あればご指摘ください。
ネタバレあり。

 

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ミュージカル 「INTERVIEW(인터뷰)」 感想

ミュージカル「インタビュー」を観てきました。
公演日、キャストは下記の通りです。f:id:e_nikaitamochi:20170825004222j:image

【2017.07.26マチネ】

ユジン・キム :カン・ピルソク

シンクレア・ゴードン:キム・ギョンス

ジョアン・シニアー:イム・ソユン

 

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【2017.08.09ソワレ】

ユジン・キム:カン・ピルソク
シンクレア・ゴードン:キム・ギョンス

ジョアン・シニアー:キム・ジュヨン

 

※こちら、キャストスケジュールがかろうじて読める程度の語学力レベルの人間が書いた感想です。
記憶力、語彙力にもいまいち自信がないので間違い等あればご指摘ください。
以下ネタバレありの感想(というか覚え書きに近い)になります〜〜。

 

 

初めての韓国オリジナル創作ミュージカル観劇となりました。ざっとあらすじを調べてみればものすごく重そうな内容、更には多重人格という設定に、観る前から心が折れかけていたのですが、1回目の観劇後、あれよあれよという間にチケットが増えて今回の滞在中1番多く観た作品となりました。
観劇前に散々「話についていけないかもしれない‥‥‥」と周りに愚痴っていたのはなんだったのか。最終的に「全キャスト観た〜〜い!全組み合わせ観た〜〜い!」となる大変奥の深い(沼の深いともいう)作品でした。

しかしユジン・キム、シンクレア、ジョアン役の3人の役者によって演じられるこの作品、罪深いことに5人のユジン・キムと5人のシンクレア、そして4人のジョアンがキャスティングされているのです。無理じゃん!!!と叫んだのは私だけではないはず。一体何通りの組み合わせがあるのか。すべての組み合わせを観ようとすると、私のようなライトオタク(というかただのにわかミーハー人間)にはかなりハードルの高い仕様となっておりました。そもそも出演期間が全く被っていないキャストもいる。

ということで清く諦め、2ユジン先生,2シンクレア,3ジョアンを観劇して参りました。

 

6月1日開幕のこの作品ですが、私が訪れたのは7月末。初めての劇場にドキドキしながらロビーに入れば、そこにはほぼスタンプで埋まっているスタンプカードを握りしめたお姉さま方で溢れており、開場前からすでに「ヤバいところに来てしまったのでは?!」と1人冷や汗をかくことに。

座席に座ってからも、周りは知り合いに偶然遭遇したと思しき人々の挨拶を交わす声(みんな知り合い遭遇率高すぎ問題)や、いそいそと鞄からハンカチとオペラグラスを取り出しばっちり膝の上にスタンバイするお姉様の率の高さなど、やっぱりマニア度(?)は高めで「ヤバいところに(以下略)」と身を縮めつつ開演を待つことになりました。今回の遠征で訪れた劇場のなかで、一番マニア度の高かった劇場は間違いなくここ、TOM1館だと思います。

 ベストセラー作家、ユジン・キム先生のもとに作家志望の青年シンクレアが「インタビュー(面接)」に訪れるところから始まるこの作品、いたるところに張り巡らされた伏線と、次々に変わっていくユジン先生とシンクレアの関係、そして最後の伏線回収まで観客側も一切気の抜けない怒涛の110分(+無数にあるキャスト組み合わせ)という、そりゃ客席のマニア度も高くなるわと納得のミュージカルでした。当然の如く内容の半分も理解できている気がしないのであらすじは省略させていただきます。どうやらこの作品、日本語台本なる物があるそうで(最近知った)、いつか入手できる日がくればなぁと夢見ていますがはたしてそんな日はくるのか。(そして多分その日がくるまで永遠に内容を理解できない)しかし調べてみると今年の3月に日本での公演があり台本も販売されていたそうですね。めっちゃ最近じゃん!!!!せめて!あと少しでも早く韓国ミュージカルに興味を持っていれば!!!と日本語台本という夢のような物への渇望と後悔に押しつぶされておりましたが、よくよく詳細日程を見てみると「アッ、この日程まんま私が10thスリルミー渡韓してた時だ\(^o^)/」となりなんだか諦めがつきました(笑)

ということで、上記の通り本当に韓ミュど素人、内容の半分も理解できているかどうかさえ危うい人間の観劇感想になります。その点ご理解いただいたうえで、大丈夫な方は生暖かい目で読んでいただければと思います。

 

 

 今回は、カン・ピルソクさんのユジン・キム、キム・ギョンスさんのシンクレアという組み合わせで2回観ることが叶ったのでその感想を書いていきたいと思います。ジョアンはそれぞれイム・ソユンさんとキム・ジュヨンさんです。観劇直後に書いた覚え書きをおぼろげな記憶で塗り固めた結果、無駄に長くなってしまっているのですが、以下主に人格別でまとめた感想になります。

 

初見時は「始まりからなんだか暗いぞ~~」となった「자장가」「유서」プレスコールの動画やお写真でしか拝見したことのなかったカン・ピルソクさんですが、私はこのシーンのユジン先生を観て、初めてピルソクさんのプロフィールに書かれていた「78年生まれ」の文字を信じました。(それまで信じていなかった)

重く吐き出される息や、何かに耐えるようにゆっくりと電話を持ち上げる動作、低く掠れた声、舞台上に漂う鉛のような空気の中に居るのはどう見ても疲れ果てた中年の男性で、*1スリル・ミー時のお写真で見かけた「今すぐギムナジウムに突っ込みたい、儚げ美少年」の面影はどこにもありませんでした。本当に同一人物なのか‥‥‥?!

2回目観劇時からは、一気に印象が変わるこのシーン。ピルソクさんの儚げで繊細な美貌から漂う哀愁が、結末を知ったうえでみると破壊力大。1回目の観劇で、隣のお姉さまが早々にハンカチを握りしめていてびっくりしたのですが、それも納得です。

 

 

[シンクレア(マット)]

ピルソクユジン先生

  • 「正しく精神科医」といった風。基本穏やか。
  • ベストセラー作家のユジン先生として観ると「そんなにシンクレアのこと気になる??」という感じだが、2回目以降精神科医としてユジン先生を観ると「なるほど」となるシンクレアの観察ぶり。

ギョンスシンクレア

  • どこにでもいそうな普通の好青年という風。時折控えめにはにかむ姿など、この後の展開と彼の背負う過去など想像もつかないシンクレア。
  • ジョアンに向ける視線は切なくもどこか色っぽく、たぶんギョンスマットにとってのジョアンは、いつまでも胸の内にある狂おしい程の愛。

ピルソクユジン先生とギョンスシンクレアの組み合わせは、ちょいちょいストーリーよりも先に心が「かわいい〜〜」と叫んでしまう瞬間があるという、総じてヘビーなインタビューの中で奇跡のような組み合わせでした。

ギョンスシンクレア、ユジン先生にサインをお願いするシーンでは、サインする先生の手元を嬉しそうに覗き込んでいたんですが、夢中になりすぎたのかぴったり先生にくっついて覗き込む。「‥‥‥‥近くない???(笑)」と思って見ていたら案の定ユジン先生に苦笑いで見上げられていましたwwwそれでも反省する風でもなく、サインする先生のすぐ隣で嬉しさを隠し切れないという風に、によによとはにかんでいるギョンスシンクレア。このふわふわっぷりは観てる側もふわふわとした気持ちになりました。(一瞬だけど!)

そしてジョアン最初の登場シーン「조안 이야기」では、さっきまでのふわふわっぷりは何処へやら、ジョアンが現れた途端一瞬にして溢れる切なさに瞳を揺るがせるギョンスマット。その鮮やかな変化に「あーーーー、凄い!!!!ギョンスシンクレアのチケット増やそ!!!!」とさっそく決心するほど心奪われました。まだジミーすら出てきていない時点で決心しました。(早い)

 우리 꿈꾸던 애너벨 리 꿈처럼

の部分で、椅子の上に立ったジョアンを抱き下ろす一連の動作、ふわりと持ち上がるジョアンもそうですが、ギョンスさんのスタイルの良さも相まってとても美しい一瞬。あまりの美しさに口をあんぐりあけて間抜け面を晒してしまったほどです(どうでもいい情報)。この映像が欲しい。というか、この場面が好き過ぎるのでこのナンバーだけでいいから全マットと全ジョアンの組み合わせで映像が欲しい(強欲)

9日の公演では震える手でジョアンを抱きしめていて、切なさも増し増しになっており終演後、このシーンを思い出しては友人と2人「あ"------」と言いながら夜の大学路を歩きました。(友人も私もこのナンバーが大好き)
全体的にギョンスマットのジョアンとのシーンは幻想の中に生きているような印象で、儚い美しさに目が離せませんでした。

ジョアン殺害の記憶から切り離されたマットにとって、ジョアンとの思い出が(手に入れることこそできなかったものの)ただただ美しいものへと昇華されているのであれば、それは他の人格たちの本望だったのだろうかと考えると胸がしめつけられます。

 

[ジミー]

 

ピルソクユジン先生

  • 26日→ジミーの要求を甲斐甲斐しく叶えてあげる見事な下僕っぷりを披露。
  •  9日→26日ほどの低姿勢ぶりと甲斐甲斐しさはなく、どちらかといえばジミーと対等に渡り合おうという感じ。

 ギョンスジミー

  • 粗暴でガラの悪いという言葉がぴったりなジミー。ユジン先生の机の上に足を乗っけちゃうわ、くわえ煙草で会話しながら灰を撒き散らすわ、やりたい放題。

ジミーのあまりの傍若無人ぷりに最初、困ったような呆れたような微笑を浮かべて眼鏡の蔓を押し上げるピルソクユジン先生。(ピルソクユジン先生のこの表情が最高)こんな、夜の繁華街で遭遇したら絶対に目を合わせたくない感じの(どんな例えだ)ギョンスジミーですが、それなりに仲良く会話できてるピルソクユジン先生すごい‥‥。序盤、シンクレアに自分のコーヒーを淹れさせていましたが、ジミーにコーヒーを要求された時はコーヒーメーカーへとすっ飛んで行き、いそいそとジミーのコーヒーを用意するそれは見事な下僕っぷりを披露してくれました。コーヒーを前にしたジミーに、ぱたぱたと手を振って香りを嗅がせてあげる甲斐甲斐しさ。ピルソクユジン先生は人格によって接し方もそれぞれ違っているところが印象的でした。1回目観劇直後に書いたメモに『ギョンスジミーはガラが悪いながらも、ユジン先生とわりとうまくやってる。』とあったのですが違う!ギョンスジミーがうまくやってるんじゃなくて、ユジン先生がうまくジミーに合わせているんですよね。ジミーが机の上の書類を思いっきりまき散らすシーン、9日公演ではユジン先生の頭上ピンポイントでまき散らしてましたが、頭上から降り注ぐ書類の中で怒ることもせず微笑を浮かべてフリーズしていたユジン先生はもはや聖母のように見えました(笑)ウッディに対するピルソクユジン先生を観ても思ったのですが、ピルソクさんのユジン先生はそれぞれの人格に合った接し方をしていて、尚且つうまく相手に取り入って話を聞いているので本当に「正しく精神科医」だなあと。(壊滅的にちっちゃい子の扱いが出来ていなかったヨンギユジン先生の感想はまた別に書きたい。)そしてどうでもいい話なんですが、ギョンスジミー、コーヒーの準備をするユジン先生のお尻を通りすがりに叩くというなんとも恐れ多いことを実行するのですが、これピルソクユジン先生相手だと何となく犯罪臭といいますか、イケナイ気持ちにさせられてしまうのは私だけでしょうか。

 

[ウッディ&アン]

ピルソクユジン先生

  • ジミーの扱いもとっても上手だったけど、ちっちゃい子の扱いもとっても上手!
  • 怯えるウッディに対しても、並んで膝を抱えて少しずつ距離を縮める
  • ウッディお絵かきタイムも、割と仲良し。漂うほのぼの感

ギョンスウッディ

  • ジェボムウッディ比でユジン先生に心を許している
  • ユジン先生にぎこちなくも笑みを見せる
  • ユジン先生は「自分に害を与えない大人」であり、それ以上でもそれ以下でもない?

ギョンスアン

  • ちょっとおませな女の子
  • ユジン先生に気がついて髪を耳にかける仕草や、両手を腰に当てて胸を張ったりする

個人的ユジン先生の見どころポイントだと思っているのが、この幼い姉弟に接するシーンです。率直に言って素敵なイケオジたちがちっちゃい子に振り回される姿は最高に萌える。

9日の公演では友人と揃っての観劇だったのですが、終わったあと2人で「ウッディってこんなにユジン先生に心開くものなの?!」と軽く議論になるほどにピルソクユジン先生のウッディへの接し方は巧みでした。(友人はゴンミョンユジン先生を履修済み)私が対ウッディのピルソクユジン先生で好きだったのが、怯えるウッディへの最初のレスポンスが、「遠くから手を振る」だったことです。あいさつは大事。ちいさく手を振り返すウッディに目線を合わせ、少しずつ距離を縮めていく姿に私の中のピルソクユジン先生の株は爆上がりでした。最終的にウッディお絵かきタイムでは、一緒に絵をのぞき込んで質問ができるほど距離を縮めるピルソクユジン先生流石!ちなみに私の比較対象はヨンギさんのユジン先生(壊滅的にちっちゃい子の扱いが以下略)しかいないので相対的にピルソクユジン先生の対ウッディが見事に見えているだけかもしれない疑惑が最近になって浮上しています。おそらく、このシーンのウッディの心の開き具合は、ユジン先生とウッディのキャスト組み合わせ次第で全然違ったんだろうなと。

最初、ユジン先生に心を許しているなあと思ったギョンスウッディでしたが、後日観たジェボムウッディと比較してギョンスウッディはそこまでユジン先生に興味がないのかもと考えるようになりました。ギョンスウッディにとってユジン先生は「自分に害を与えない大人」でありそれ以上でもそれ以下でもない。それでも、虐待を受けていたウッディがこんな短時間で大人に対し怯えをみせなくなったのは、間違いなくピルソクユジン先生の手腕だなと。

ギョンスウッディ、ユジン先生に耳打ちしようとするも、遠くを見て怯える演技が本当に幼い子供にしか見えなくてとても好きでした。さっきまでのガラの悪いジミーと同一人物が演じてるとは思えない‥‥‥‥すごい(足りない語彙力)‥‥‥‥となりました。(そして増えるチケット)

 

9日の公演では、ウッディと並んで膝を抱えて少しづつ距離を縮めていくシーンで「おじさんに〜?」(ほとんど台詞が聞き取れてない)と言ったあと何故か眼鏡を額にあげるというウッディも客席も想定外の行動に出たピルソクユジン先生。突然の行動にキョトンとするしかないウッディと客席。しばらく額に眼鏡スタイルのままウッディを宥めていたユジン先生ですが、「アン?」と訊いたタイミングで元の位置にポトっと眼鏡が着地していました。にこにこと何事もなかったかのように話を続けるユジン先生でしたが、この瞬間客席に起こった微妙な騒めき(決して"笑い"という感じではなかった)は間違いなくピルソクユジン先生のあまりの可愛さに頭を抱えた乙女たちの声にならない呻きだったと思います。(少なからず私はそう)あれは反則級の可愛さでした‥‥‥‥‥。いや、ウッディには大受けしてたのでいいんですけどね‥‥‥‥。

 

 

[ノーネーム]

ピルソクユジン先生

  • 総じて精神科医として各人格たちと接していたが、後半のノーネームに対しては哀しみを湛えた被害者の父親
  • 事件に関しては怒りよりも哀しみのほうが大きい

ギョンスノーネーム

  • 全て他人事のようにみてる
  • 決して威圧的でないが、飄々としてつかみどころのないタイプ
  • 時々冷たい挑発的な微笑を浮かべる

最後のノーネームとユジン先生のやりとりのシーンで、ユジン先生に関する重要な設定の伏線がはられるわけですが、これ日によって違うんですね‥‥‥。

ノーネームに対し、初めて内に秘めていた哀しみと激情を露わにし被害者女性の名前を読み上げてはその資料を散らすシーン、私が観た2公演ともピルソクユジン先生は最後の2枚の名前を読み上げる前に力なく項垂れていました。そしてその手にある資料をノーネームが奪いとり他人事のようにその名前を読み上げるのですが、26日は「レイチェル・キム」とフルネームで読み、9日は「レイチェル」とだけ読んでいました。いやいやいや、ここ大切な伏線だよね??日によって違っていいの??と1人困惑していたのですがギョンスさんでの観劇はこの2公演のみだったのでどちらがイレギュラーかは確認できず。これ、別日の公演やキャストでは違ったのでしょうか?ユジン先生がフルネームで名前を読む公演もあったので、これはキャスト&日によって違っているのかな?とも考えたのですが、でもこれ本当に大事な伏線じゃん‥‥‥‥‥といまだ困惑しております(笑)

因みに個人的な好みだと、ユジン先生がレイチェルの名前を読み上げるのが1番好きです。絞り出すように読み上げられる名前とそれを他人事のように聞いているノーネームという構図がより2人の関係性を際立たせているように感じ鬱度が増して堪らないです。

とまあいろいろ考えてしまいましたが、少なからず初回の観劇がレイチェルフルネーム呼びverで良かったです。そうじゃなきゃ、多分私のお粗末な語学力じゃこの設定に気がつかなかった。(そこかよ)しかし、「オフィーリア殺人事件の被害者の1人がユジン・キム先生の娘」というこのトンデモ設定、本当にトンデモ設定すぎてユジン先生の迫真の演技がないと言葉がわからない人には絶対理解できないよね、というか想像つかないよね、と妄想力をフル稼働させつつ必死で観劇してる身としては思ってしまいます。

お粗末な語学力といえば、9日公演の「レイチェル」の後にノーネームが何か言っていたのですが、私の語学力がお粗末なのは大前提としても早口だったので全く聞き取れず‥‥‥‥。やっぱり、言葉がわからなくとも楽しめるけれど、きちんと理解できないと本当に作品を楽しむことは難しいなあと落ち込んでおります。あと単純にフラストレーションが溜まる。

 

3回のチャイムの音と共に暗転後、「面白かったけどユジン先生の見せ場ほとんどないやんけ」と息をついていたのですがまさかここから怒涛のユジン先生タイムが始まるとは。再び照明が付いたときにはきっちりとスーツを着こなしたユジン先生が1人舞台の中央に。最初突然の展開に「???」となっていましたがガベルの音に裁判所だとなんとか理解。ここの裁判官に受け答えする仕草、表情すべてでユジン先生の哀しみを表現されており、いままでマット(とその他の人格たち)の物語だと思って観ていたインタビューがユジン先生の物語でもあったのだと気づかされました。

ユジン先生、裁判官との受け答えで、涙は流していないながらも赤く染まった目元と、話していくにつれ涙を流すのを耐えるような表情は心が泣いているんだろうなという感じ。この時点ではまだレイチェルがユジン先生の娘だということが明かされていないので、ユジン先生の哀しみは感じつつも「うわぁ‥‥‥」という感じで観ていたのですが‥‥‥‥‥。裁判を終えゆっくりと立ち去ろうとするユジン先生を呼び止め質問する声に(さっきまでの裁判官の声と違ってオフマイク風だったので裁判所の廊下や控え室?だったりしたのかなと妄想)初めてレイチェルがユジン先生の娘だと知った時には、それまでのウッディとアンに対する優しさだとか、虐待を受けるジョアンの姿から堪え難そうに目を逸らす姿だとかを思い出し、隣のお姉様のように膝にハンカチをスタンバイしておかなかったことを激しく後悔しました。辛すぎる。この台詞、初見では娘が云々しか聞き取れず後日詳しく書いてくださっている方の感想を拝見したのですが、「とんでもないこと聞いてるな!!」となりました。間違いなくユジン先生が立ち去った後その場に気まずい空気が流れるやつ。

そんなとんでもない問いにゆっくりと振り返るユジン先生の瞳は哀しみに揺れていて、少しの間遠くを見つめた後ゆっくりと目を伏せ口元だけ淡く微笑む姿はレイチェルが殺された過去とマットの歩んできた過去、もうどうすることもできない2つの過去に板挟みになったユジン先生の哀しみと虚しさの入り混じったもののように見えました。

ピルソクユジン先生は、書斎に戻った後ゆっくりと机を片付けていくのですが、この時ジミーの使ったコーヒーカップを見て一瞬手を止める動作など細いところまでユジン先生の心情が表現されていて、客側はもうただ泣くしかない。そして片付けるという動作をしているのに解いたネクタイと上着は乱雑に床に落とすなど、マットとのインタビュー時の穏やかな先生からは想像もつかない姿に、はじめて先生の憔悴を知り、ただひたすらに辛かったです。(そして泣いた)

静まり返った劇場を満たすユジン先生の哀しみを目に見た後に、再び繰り返されようとするインタビュー。それは、最初に観た場面と同じなのに、ここまでも受ける印象が違うのかと衝撃を受けることになりました。そりゃ、2回目以降だと泣くわ。

後日インタビュー初見直後の友人と劇場近くのカフェで合流しお茶する機会があったのですが、「最初の場面に戻る演出本当ニクくて好き」という話題になり、死の賛美観劇直後だった私も「ほんとそれな〜〜」と盛り上がりました。観た人間を最後の最後で更に鬱に突き落とすこのスタイル、かなり好きだったんですけど他にも同じスタイルの作品ってあるんですかね?韓国ミュージカルど素人すぎてわからない。

 

[ジョアン]

すっかりタイミングを逃していたのですが、ここでジョアンのキャスト別感想を。

ソユンジョアンは他のジョアンたちに比べて普通の女の子という印象。マットがジョアンに籠絡されたというよりも、2人が身を置く環境が気がついたらそうさせていたという感じに見えました。一方ジュヨンジョアンは無邪気な狂気が見え隠れするジョアンの印象。笑顔は可愛いのにスッと真顔になるところとか人形の扱いが激しいところとか、可愛らしい外見とのギャップがより怖さを増していたと思います。そしてギョンアジョアンですが、このジョアンは完全に計画的にマットを籠絡していたように感じました。ギョンアジョアンを観て、初めてジョアンはジェイク・マルフォイとは遊びで付き合っていて、シンクレア・ゴードンとは2人でロンドンに行こうとしていて、更にはマットとも愛がなんたらと言い合っていたしたたかな子だということを思い出しました。アナベル・リーでのマットの手を自分の腰に回させる仕草が物凄く色っぽかったです。

どうしてもユジン先生とシンクレアのキャスト優先で観劇日を決めてしまっていたので、キム・ダヘさんのジョアンは観られず‥‥‥。ダヘさんとっても観たかったので残念です。今回の遠征で、ロッキーホラーショーと合わせても何回かチャンスがあったのに1回も観られなかったのは縁がなかったんですかね‥‥‥‥。それか私の徳が足りなかったのか。うーーん。

 

思い出しながら感想をまとめてみて、少しはこの作品が理解できるかなあと思っていたのですが、1つ引っかかる部分が出てきたので考えてみました。以下個人の見解というよりも、言葉がわからず内容が理解できてないのをいいことにかなり妄想が入っています。そしてまとまりのない文章なので読み飛ばして頂いて大丈夫です。

上にユジン先生にサインをねだるギョンスシンクレアが、本当に嬉しそうにふわふわによによしていたのが可愛かったと書きましたが、冷静に考えるとこれってもしかしてマットの演技だったのかということです。(気がつくのが遅い)ユジン先生がシンクレアだと疑ったマットが、ユジン先生の反応を見る為に"シンクレア・ゴードン"の名前を使って面接に来た設定だったと思うのですが(そうですよね?!)、そうだとすると嬉しそうにユジン先生にサインを貰っていた姿は全て演技ということになります。でも、あそこまで嬉しそうな演技をしてサインを貰う理由ってマットにあるのか?と考えるとそうでもないような‥‥‥。ジェボムシンクレアは「シンクレア‥‥ゴードン‥‥‥‥」と名前を入れてサインするユジン先生に対し、念押しのように「シンクレア・ゴードン」と復唱しユジン先生の反応を伺っていたので「ああ、"シンクレア・ゴードン"という名前に対するユジン先生の反応を見たかったのね」と観てる側も納得できたのですが、ギョンスシンクレアはそんな風でもありませんでした。ただ本当に嬉しそうに先生の隣でサインする手元を覗き込んでいました。これが全て計画的な演技だったとしたらギョンスマットはかなり怖い、といいますか闇が深い人物ということになります。全編通しての私のギョンスマットに対する印象は「ただただジョアンとの愛の幻想を追い続けた結果、殺人をも犯してしまった哀しい青年」なのでそれはしっくりこないなあと。じゃあ、どうだったら納得できるかと考えた結果辿り着いたのが

シンクレア・ゴードンもマットの中の人格の1人だったのかもしれない

というものです。

今まで、"シンクレア・ゴードン"とは、あくまで「事件の真相を暴くためマットが使った偽名」というふうに捉えていましたが、何も知らない小説家志望の男という人格だったのであればベストセラー作家のユジン・キムに対して心底嬉しそうにサインを貰うという姿に納得することができます。小説を書くという夢とジョアンとの愛という、マットが決して手に入れることができなかったものを持つのが"シンクレア・ゴードン"という名前の男でした。マットを守るため他の人格たちにそれぞれの役割があったのだとしたら、ジョアンからの愛が全てだったマットを守る為に"シンクレア・ゴードン"という『ジョアンから愛される』為の役割の人格が居ても不思議ではないなと思います。ざっくりと解離性多重人格について調べたところ、『心的外傷もきっかけとなることがある』とあったので、ジョアン殺害のショックからこの人格が生まれる可能性も、無くはないなと。「人格の1人」という程ではないにしろ"シンクレア・ゴードン"という名前を使うことによって、マットが憧れた”シンクレア・ゴードン”になりきっていたというのは考えられるのではないかと私は思います。というか、ただあのふわふわしたギョンスシンクレアが全て演技だと思いたくない……。

 

観劇直後はため息しか出てこないこの作品ですが、ほんの僅かながらも癒されるカーテンコールが9日観劇時は撮影OKでした。f:id:e_nikaitamochi:20170908205115j:image

 この日は26日公演後にいそいそと追加した日だったので少し遠い席になってしまったのが残念ですが、それでもマットとジョアンのハグシーンをおさめられて満足です。2人が仲良くしてる姿だけで涙が出てくる‥‥‥‥。

 

 初回観劇後はあまりの鬱展開にメンタルはボロボロ、水曜マチネ公演だったので午後の予定もまだまだ立ててあったのですが、全部諦めて帰路につきました。

ふらふらと地下鉄に乗り、2号線に揺られながら「やばい‥‥‥無理‥‥‥‥」という1ミリも内容のない感想をTwitterで呟きつつキャストスケジュールをチェック、息をするようにチケットを増やしていたらいつの間にか知らない駅に居ました。

初観劇の作品の帰り道はほぼ毎回電車を乗り過ごしていた人間なんですけど、これって私だけじゃないですよね???

 

 

*1:スリル・ミー10th公演は前半期3ペアしか観られていない人間です。

ミュージカル「ロッキーホラーショー」(록키호러쇼)感想

 

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2017.08.01 ソワレ

 フランクン・N・フルタ―:マイケル・リー
ジャネット・ワイズ:チェ・スジン
ブラッド・メイジャーズ:パク・ヨンス
マジェンダ:ソムン・タク
リフ・ラフ:キム・チャンホ

 

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2017.08.05 ソワレ

フランクン・N・フルタ―:ソン・ヨンジン
ジャネット・ワイズ:チェ・スジン
ブラッド・メイジャーズ:パク・ヨンス
マジェンダ:キム・ヨンジュ
リフ・ラフ:コ・フンジョン

  

8月1日ソワレと8月5日ソワレの計2公演観劇してきたので、あわせて感想を書いていきたいと思います!!それぞれのキャストは上記の通りです。(敬称略)

チケットは最初インターパークグローバルにて予約していましたが、小劇場作品に比べてチケット代が高いのと割引が全くきかないのもあって、(そんなに良席でもなかったし)一旦そのチケットはキャンセル、当日劇場で購入し観劇しました。

こちらが購入したチケット。もうチケットから可愛くてテンションが上がります。

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キャンセルができ、当日購入も無理なくできるというのは日本のミュージカルと比べて羨ましいなあと思います。興業的にはどうなのかわかりませんが。

結果的に、最初に予約していた席よりも見やすい席を、最初に予約していた時より安い価格で購入することができました。

知らないまま行ったのでびっくりしたのですが、どうやら7月18日の公演からグッバイ割引なる割引をやっていたそうで、かなり前方のセンターブロックVIP席が99,000ウォン→59,400ウォンで購入できました。やった~~~。

金欠だったので、一番安い席でいいや~とオペラグラスを握りしめて家を出たはずが、割引価格と購入可能座席を示された瞬間息をするようにVIP席を指していました。(オタクの財布の紐は緩い)

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当日券だったため開場1時間前には劇場に到着していたので写真も撮り放題でした。こういうのがあるのは楽しいですね。1人のさみしさも若干紛れます(笑)

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1人で行くにはさみしい演目と聞いていたので、家を出る前に父親を誘ってみましたが今回も秒で断られましたw

以下ネタバレあり、韓国語のわからない人間の感想文になります。

感想というよりも、気持ち悪い萌え語りに近いのでご注意ください。

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ミュージカル 「키다리아저씨(Daddy Long Legs)」感想

 

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「키다리아저씨 (Daddy Long Legs)」

 

2017.07.22 ソワレ

ジルーシャ:イム・ヘヨン

ジャーヴィス:シン・ソンロク

 

2017年5月16日〜7月23日の期間に上演されたいたこの作品、調べれば調べるほど観たくなり、結局少し無理をして遠征日程を組み滑り込みで観劇に挑みましたが、無理してよかったーーー!!!

こんなに可愛くて幸せになれる胸キュンミュージカル、今まで観たことあっただろうか?!という感じです。(パッと思い浮かぶのは大体誰か死ぬ)

客席中がジルーシャとジャーヴィス恋愛模様にだだ泣きするこの作品。

しかも可愛いのは内容だけでなく割引名までキュートでした。少しでも節約したかったので血眼で割引一覧を翻訳にかけてたのですが、「제루샤 대학생 할인(ジルーシャ大学生割引)」という割引名での大学生割引を見つけ、あまりの可愛さに頭を抱えました。(そして速攻で予約した)

この割引で20%オフにて観劇できました。ジルーシャありがとう♡(違う)

ちなみに家族2人以上だと30%オフになるそうなので、ダメ元で滞在先の家主こと父親に「一緒に行く?」と誘ってみましたが秒で断られました。

日本でも公演があったこの作品ですが、未観劇だったため綿密に予習をして挑みました。というか、楽しみすぎて今回観劇作品の中で一番予習しました。原作小説だけでなく、世界名作劇場「わたしのあしながおじさん(全40話)」を完走したのはさすがに自分でもドン引く。

以下ネタバレあり、韓国語が全然わからない人間の感想文になります。

 

 

今回観たのは、シン・ソンロクさんのジャーヴィスとイム・ヘヨンさんのジルーシャでした。

ヘヨンさんのジルーシャは本当に可愛くて可愛くて、そりゃジャーヴィスも好きになっちゃうよね!という感じの守ってあげたくなるジルーシャ。

一番最初の孤児院のシーン、ジルーシャは何役もこなしますがヘヨンジルーシャは役が変わる度にくるっと回るのがとてもわかりやすくて素敵でした。(そしてただただ可愛い)

可愛いといえば、途中トランクを移動させるときにどうやら向きを逆向きに置いてしまったようで、トランクを開けて衣装を取り出すシーンで「あっ( ゚д゚)」となっていましたが、そのままトランクに突っ伏して「うぅ~~~」と恥ずかしがってみせていて、ちょっとしたアクシデントも「あまりにもかわいいジルーシャ」として客席にみせてしまう姿に役者さんってすごいなぁと改めて感じました。

そして、ヘヨンジルーシャで一番好きだったシーンはジャーヴィスからのプロポーズを断るシーンです。

ジャーヴィスの手をそっと押し返し、背を向けてから静かに泣くヘヨンジルーシャ。背を向けて泣くという、好きでたまらないジャーヴィスに対するジルーシャの精一杯の拒絶。その気持ちを想像すると泣かざるを得ない‥‥‥。周りもめっちゃ泣いてた。

このシーン、呆然自失という感じで去ろうとするソンロクジャーヴィスが少しも大丈夫じゃなさそうなのにジルーシャを気遣って絞り出すように「大丈夫」と言うのも本当に泣かせに来ていますよね‥‥。

 

ソンロクさんのジャーヴィスは外見はすらっとした紳士なのに、中身はジルーシャに翻弄されまくり、ジルーシャからのお手紙に対する反応がいちいち面白く目が離せない、魅力的なジャーヴィス

個人的に萌え悶えたシーンは、ジルーシャからのお手紙の「愛をこめて」を読んだ時の反応です。最初真顔で手紙を読んでいたのに、「愛をこめて」の部分で「あに…あに」と一旦天を仰いでからもう一度読み返し、「………さらん」と小さく呟いてからにやけているソンロクジャーヴィスに全私が「無理ーーーーーーーーー(言葉を失ったオタクの常套句)」となりました。

かわいい。あまりにもかわいい。そしてソンロクさんお似合いすぎでは?言葉がわからないかつ記憶もあいまいなので、もしかしたら私の妄想だったのか?と今疑っています。

他にも雨に降られ、ジャーヴィスがジルーシャに自分の上着を掛けてあげるシーン、ドンホジャーヴィスはさながら韓ドラに出てくるスパダリのように優しくジルーシャの肩にかけてあげていましたが、ソンロクジャーヴィスは乱雑にジルーシャの頭の上に投げてましたwww

ジャーヴィスの上着に埋もれ一瞬フリーズするジルーシャと「な、投げたーーーwwww」となる客席。このシーン、ドンホジャーヴィスが韓ドラのスパダリならば、ソンロクジャーヴィスは日本の少女漫画のツンデレ男子でした。あーーーかわいい。

「ジミーからお誘いうけちゃった♡(意訳)」というお手紙に、ズルズルと椅子にへたれこむ姿や、「孤児院に戻ったら死んじゃう(意訳)」というお手紙に、慌てすぎて椅子に座ったまま机とタイプライターを何往復もしちゃう姿など、コミカルな面も多いソンロクジャーヴィスでしたが、合間合間で見える、ジルーシャへの真摯な愛情がもともと高いこの作品の胸キュン度をさらに上げているように感じました。

ソンロクジャーヴィス、ジルーシャと一緒にいるときに向けるまなざしは、甘いそれとはまた違う、本当に愛おしいものを見るようなそれなんですよね。開いた本を一緒に覗き込むシーンのソンロクジャーヴィスのまなざしとちょっと緊張ぎみのヘヨンジルーシャの姿には甘酸っぱいときめきを感じずにはいられませんでした。そして、ジルーシャが少しずつ自立していく手紙では本当にうれしそうに泣くんです。あ〜〜本当にジルーシャのことが大切なんだろうな、というその姿に会場中がハンカチを握りしめて泣いていました。(少なからず私はそうだった)

実はぎりぎりまでこの公演を見る予定はなかったのですが、23日の予習としてプレスコール動画を観まくった結果、「ジャーヴィスの正体を知りプンスカ怒るジルーシャに、しゃがんで上目遣いで許しを請いはじめるソンロクジャーヴィスがどうしても観たい」となりチケットを追加した経緯があるのでこのシーンが来たときは、嬉しすぎて右手にオペラグラス、左手にハンカチを握りしめて興奮に震えていました(笑)「あしながおじさん」のタイトルに相応しいスラッと長身なソンロクさんが、ちっちゃくなって謝っている姿は可愛いと萌えの暴力でした。こんな風にしょげられたらジルーシャも許しちゃうよ!反則じゃん!!!と、この時点で興奮と萌えに、もはや瀕死状態だったのですがこの後まさかの爆弾が投下され、控えめに言って萌え死にました。

前述の通り、プレスコール動画は何回も観たので動画になかったシーンに比べ、動画のあったシーンは心穏やかに観て(そして泣いて)いたのですが、最後の最後、MDグッズにも散々使われたあのキスシーンのあと、そのままハグかと思いきやまさかのジャーヴィスからジルーシャの頬を両手で挟み再びキス、からのハグでした。予想外の出来事に、リアルにこんな顔→((((;゚Д゚)))))))をして崩れ落ちました。

えっ、プレスコール動画じゃここはキス1回だよね???少女漫画のツンデレ男子か?!ここぞというときは強引な魅力でキメてきて、乙女のときめきを掻っ攫っていく少女漫画のツンデレ男子か?!?!と呆然としておりました。こんなの反則じゃん!!!!(2回目)

これはソンロクジャーヴィスの通常運転なのでしょうか?ご存知の方居ましたら教えていただけると嬉しいです……。

この後ソンロクさんとヘヨンさんのマッコンということでお2人から挨拶があったのですが、あまりの萌えと号泣で記憶が曖昧です。(そもそも韓国語がわからないので、記憶があっても挨拶の内容はわからないのですが)会場中があたたかい雰囲気でお2人とも泣かれてたような気がします。

決断が遅かったので2階席しか残っておらず、オペラグラスを使っての観劇になってしまったのが残念(2人の表情が同時に見られない)ではありましたが、今回の渡韓で唯一幸せな涙を流せた演目になりました。

帰り道、萌えと興奮と幸せオーラにふわふわと大学路を歩きながら「明日最前だけど死ぬんじゃないかな……」と本気で自分の身を心配していました。(そして2回ほど電車を乗り過ごした)

 

ところで余談なのですが、この日マチネは同じ建物のお隣で「スルース」を観劇していたところ、スルース観劇中にダディのプログラムが完売するということがあり、韓ミュのMD商品販売のシビアさを学びました‥‥‥‥。スルース観劇前は「荷物になるし後で買おう」とダディのMDコーナーを眺めていたんですよね‥‥‥‥。韓ミュのMDグッズは「買える時に買っとくべし」というのこころに留めて生きていこうと誓った日になりました。

 

次の日観たジャーヴィスとジルーシャもとっても素敵だったので、近いうちに23日マチネの感想も書ければなあと思います。