絵に描いた餅

書かなきゃ忘れるオタクの備忘録

ミュージカル「ワンス・アポン・ア・タイム in 海雲台(원스어폰어타임인해운대)

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【2018.01.05 ソワレ】

ラ・チョン :ユン・ソホ

ユン・ヨンドク:ソン・ヨンミ

ガイド:キム・グッキ

ビン:アン・ドゥホ

 

 

最初に宣言しておきますと、今回のこの投稿、内容の8割くらいは嘘っぱちです。なんたってお粗末すぎる私の語学力での観劇なので!完全オリジナルミュージカルの初演に挑むには厳しすぎたようです(知ってた)2割は観たまま、残りは想像と妄想とその上に作り上げたストーリーの感想になります。

 

インターパーク先生のあらすじがこちら。

誰でもひとつくらい胸の中にしまっている、輝かしい青春時代の思い出。不安な、揺れ動く心を抱えた青春真っただ中の若者に突然訪れた恋。
「若さ」というたった一つの共通点だけで互いに心を開く2人の若者の姿をさわやかに、愉快に描くミュージカル「ワンス・アポン・ア・タイム・イン海雲台」。
古い引き出しから忘れていた思い出を取り出すように、山あり谷ありの人生を生きるそれぞれの大切な記憶をひもといていく。
1992年11月、清凉里発・海雲台行きの列車で知り合ったラチョンとヨンドクは突然の雨で一晩を共に過ごすことに。初めて見る海雲台の夜の海で日が昇るのを待つ二人に、見知らぬおばあさんと高校生が近づいてきて…。

 

このあらすじを読んだだけじゃ全く予習にならなくない?って思ったんですが、もうどうしようもないので清く諦めて観劇に挑みました。諦めは大事。

結果、細かい部分は分からずとも、久しぶりに次の展開が気になってドキドキしながら観ることができたのでこれはこれで良かったな〜と。

以下若干ネタバレありなのでお気をつけください。

 

 

ストーリーの予習は諦めたのですが、稽古場動画の「쿵쾅쿵쾅」だけは聴き込んでいきました。「胸がドキドキ!恋の予感♡」みたいな曲ですね(知らんけど)この曲とインターパークさんの情報を頼りに胸キュンハッピー恋愛ミュージカルと信じて劇場に赴きました。そう、胸キュンハッピー恋愛ミュージカルだと思っていたんです。結局騙された気持ちになって帰ってきましたけど。

今回の遠征、ヨボショ以外は恋愛を扱ったものを観る予定で、そのどれも気持ちの良いハッピーエンドで終わらないことはわかっていたのでせめて1演目くらいはハッピーなものを観ようとチョイスしたんですけどね!!!うーん‥‥。

作品としては、(私の語学力で理解できた限り)決してハッピーエンドではないけれど、胸に切なさと温かさを残してくれる素敵な作品でした。なんか同じようなことをヨボショ感想でも言っていた気がする。

 

舞台の造りは今までみたミュージカルの中で1番シンプルじゃないかなと。バックに映像が投影される演出がところどころありました。

以下重要な部分は伏せつつも、インターパーク先生よりは詳しい私の理解できた限りでの(重要)あらすじです。多分ちょいちょい嘘書いてます。

 

[あらすじ]

 時は1992年。学校新聞に載せる日の出の写真を撮るため江陵へ行こうと列車に乗ったチョン。歌手の夢に破れ、故郷に帰るヨンドク。2人は同じ座席のチケットを持っていたことから出会います。最初はチョンに対し素っ気ない態度だったヨンドクですが、新たに列車に乗ってきた兵士の登場により場の空気は一気にほぐれていきます。偶然にも3人とも同じ21歳だと判明し、更に縮まる距離。

途中の駅に着いた時、「自分にはもう必要ないから」と願いの叶う折り鶴が詰まった容器を兵士は2人に渡し列車を降りていきます。

そして終点の駅に着いた時、チョンはやっと自分が乗る列車を間違えたことに気がつきます。日の出の写真を撮らないと先輩に怒られると焦るチョンに、日の出なら海雲台からでも撮れると教えてあげるヨンドク。それなら良かったと海雲台に向かおうとするチョンですが、急に雨が酷くなりチョンとヨンドクは電話ボックスの中から出られなくなってしまいます。狭い電話ボックスで否応なく近づく2人の距離。雨音よりも大きく鳴る心臓の音に2人は恋の始まりを感じます。

やがて雨はやみ、電話ボックスを立ち去ろうとするヨンドクをチョンは「一緒に日の出を見に行かないかと」呼び止めます。こうして2人は一緒に海に向かうことになります。

海で日の出を待つチョンとヨンドク。そんな2人の前に現れたのは、見知らぬおばあさんと高校生の2人組。

実はこの2人、未来の2050年からやって来たタイムトラベラーだったのです。時間旅行ガイドであるおばあさんと祖父の願いを叶える為に過去へやって来たビン。チョンとヨンドクと別れた後もおばあさんとビンは遠くから日の出を待つ2人を見守り続けます。

一方日の出を待ちながらお互いの夢を語る2人。ソウルまで受けに行ったバンドのオーディションで一小節も歌えず逃げ出してしまったヨンドクは歌手の夢を諦めたと語ります。そんなヨンドクに優しく「歌ってよ」と言うチョン。日の出前の海雲台の海辺で歌うヨンドクに「僕が最初のファンになるから夢を諦めないで」とチョンは言います。

遂に日の出の時、チョンは念願の日の出の写真、そしてその光に照らされるヨンドクの姿も一緒にカメラに収めるのです。

別れの時、海雲台の駅に居る2人。照れるヨンドクと一緒に写真を撮ったチョンは、撮った写真をアルバムにして送るから連絡先を教えて欲しいとヨンドクに頼みます。しかしヨンドクは「今日のことは忘れた方が良い」と断るのです。

別れ際、チョンは行きの列車で貰った願いの叶う折り鶴の羽に自分のポケベルの連絡先を書き、必ず連絡して欲しいと告げてヨンドクに渡します。そうして列車は発車し、偶然によって出会った2人は別れることになります。

1人駅に残されたヨンドクはチョンの連絡先が書かれた折り鶴をしばらく見つめた後、それを置いてその場を立ち去ります。再びチョンに会えば、歌手になるという夢を諦められなくなることが恐かったのです。

こうして別れてしまった2人は再び会うことができるのか。

そしてビンの祖父の願いとはなんだったのか。

 

 

1度しか観られてないのと、私の語学力がお粗末な故に間違っている箇所があると思いますが、おおよそこんなお話だったと思います。

 

[感想]

どこかで読んだ制作サイドのインタビューでもおっしゃっていましたが、この作品お話自体は特に目新しいものではないんですよね。『列車で出会った男女が朝まで一緒に過ごす』というのは映画「恋人までの距離」を彷彿とさせますし、『初恋』という題材も既に某大学路の名作がありますし(映画しか観たことないけど)。

それでもこの作品を良いミュージカルだったな〜と思えるのは、どこか切なくて懐かしいメロディとキャスト陣の熱演だと思います。

 

まず音楽ですが、これが本当に良くて。作品の空気にぴったりとハマるメロディでとっても耳に残るんです。特に表題曲である「once upon a time」は今でも鼻歌で歌ってしまうほど素敵です。

あとは、観劇前にしっかり聴き込んでいった「쿵쾅쿵쾅」でしょうか。この曲、俳優さんの演技もあいまって、少し恥ずかしくなってしまうほどキュンキュンします。

 


뮤지컬 '원스어폰어타임 인 해운대' 연습 - 쿵쾅쿵쾅 (윤소호, 조가비)

ひとまず、再演とOSTの販売をお空に祈って生きていきたいと思いました。あと単純に、私のヒアリング力に限界があるので歌詞が知りたい。

 

そしてキャスト陣ですが、これがまた本当に良かった。特にユン・ソホさんとソン・ヨンミさんがまさに等身大なチョンとヨンドクでした。

私の知ってるソホさんって、足首チラ見せ財閥のボンボンルックで「めいどいん〜さむそんっっっっっ」って叫びながら宇宙と交信するボタンを押してる姿(地球を守れ)を夏に観たのみだったんですが、一気にイメージが塗り替えられました。

正直、トライアウト公演後追加されたチョン役のキャストを見て「とりあえず人気俳優入れとけばいいやってなんて事務所が思って‥‥(以下略)」なんてめちゃめちゃ失礼なことを思ってたんですがもう全力で謝罪したい。

はい、ソホチョン最高です。馬鹿みたいに可愛い。

多分、あの会場にいたリピーターの8割はゆるぽわ大学生のチョンが忘れられなくてやって来てると思うし、会場の8割はゆるぽわ(略)に心奪われて帰ってると思う。それくらいに可愛くて愛おしい21歳なんです、ソホチョンは!!!

オープニングの時点から、きらきらでぽわぽわのハッスルオーラだだ漏れだし、少しずつ露わになるあほの子っぷりには会場中の女性のハートが掻っ攫われる音が聞こえてきそうでした。

何故かメッチュ(コーラだったかもしれない)を振ってから開けてみたり(可愛い)、未来の物である底が光る靴に釘付けになっていたり(可愛い)、海に向かって「ぱだあんにょーーーん」と叫んでみたり(可愛い)、もうただただひたすら可愛いあほの子。

そもそも21歳にもなって、終点まで電車を乗り間違えたことに気がつかないところがもう可愛い。

というふうに、感想を書こうとしても「可愛い」以外の語彙力を奪われるレベルで可愛いんです。

 

そしてヨンドク役のソン・ヨンミさん。

公式が公開したデミョンの屋上(たぶん)で歌っている動画を観て一目惚れしたのですが、動画での姿と違わず、歌う姿がいきいきとした素敵なヨンドクでした。

前半の列車のシーンで、あほの子っぷりを遺憾なく発揮するチョンに対し絶対零度の視線を送る姿や、恋に胸をときめかせる姿、そしてソウルに帰るチョンを見送る時の切なさ溢れる姿がまさに等身大の女の子というリアルさで目が離せませんでした。

何より歌っている姿が本当に魅力的なんです。歌いはじめた瞬間いきいきと輝く表情、パワフルで透明感ある歌声。歌うことが大好きなんだと伝わってくるその姿に、チョンでなくとも惹かれてしまうと思います(笑)

 

〈Once Upon a Time〉というタイトルからも察せる通り、劇中には懐かしさを感じさせる要素がたくさん散りばめられていました。ポケベルやフィルムカメラ、あと外国人の私には分からないのですがトンイル号(KTX開通を機に廃止された列車)や指切りの仕方もそんな要素のひとつみたいです。劇中何回か指切りをするシーンが出てくるのですが、それがまた長い(笑)

小指を絡めて「指切り」、親指を合わせて「はんこ」。この辺までは私もドラマで見たことがあったんですが、劇中では更にコピーしてコーティングして‥‥‥‥ちょっと長すぎて忘れちゃったんですけどまあ色々やってました。あまりにも気になったので、帰り道一緒に観劇したオンニに聞いてみたところ「今?あんな指切りの仕方しないよwww」と鼻で笑われましたwww

 

そして今回の観劇で個人的に誤算だったのが、ちょいちょい泣かせにくるシーンがあったことです。「底抜けに明るい胸キュンハッピーミュージカルじゃなかったんかーーーーい!!!」(勝手に思い込んでただけ)ってなりました。席に座り開演を待っていたら、隣の席のお姉さんがティッシュを膝の上に用意し始めたあたりから予感はしていたんですけどね。

中盤でおばあさんとビン、そしてチョンとヨンドクの4人で海を眺めながら談笑するシーンがあるのですが、その時のビン役のアン・ドゥホさんの表情や仕草がとっても良くて‥‥。ドゥホビンの演技で、この辺りからもう泣きそうになってました(早い)

そして最後の演出がまた、美しくも切なさ溢れる素敵な演出なんです!!!!

ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、周りも泣いている方がけっこういらっしゃってニクい演出だなあと思いました。

 

「誰でもひとつくらい胸の中にしまっている、輝かしい青春時代の思い出」

チョンとヨンドクのこの思い出が、タイムトラベルという手段で美しいままに蘇るからこそ、観ている側は自分の思い出と重ね、心を掴まれるのだろうなと思いました。あと、海雲台という観客にとって身近な地名が使われるからこそ自分の思い出とも重ねやすいんだろうなと。海雲台に行ったことのある誰もが、舞台を観ながら自分の見た海雲台の海を思い出していたと思います。現にオンニは「17歳の誕生日に海雲台に行ったことを思い出して楽しかった」と言っていました。

因みに私も、釜山旅行で食中毒になり観光する気力を失って、死んだ顔して海雲台の海を眺めていたことを思い出しました(全然美しい思い出じゃない)

 

完全オリジナルミュージカルの初演だし、人様の感想も聞かないしどうなんだろう〜と思っていたのですが、誰もが自分の胸の中にある「あの頃」を思い出させてくれる素敵なミュージカルでした。あとソホチョンがめちゃめちゃ可愛かったです(しつこい)

 

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